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2020年1月15日

「労使協定」の書式イメージを更新 4月施行の改正派遣法で厚労省

 4月施行の改正労働者派遣法について、厚生労働省は14日付で、「派遣元の労使協定による待遇決定方式」を選択した場合に必要な協定書のイメージを更新した。これまで公表していた協定イメージは3ページ(別表を除く)だったが、今回の更新で8ページとなり、大幅に記載例などが増えている。「派遣先労働者との均等・均衡方式」と「労使協定方式」の選択制2方式を巡っては、「複雑かつ難解」との指摘が挙がっている。「労使協定方式」は施行初年度に主流となる公算が高いが、施行まで2カ月半を切る中、改正法の理解不足で事前対応が立ち遅れている事業者も目立つ。

 労使協定の書式イメージは、昨年3月29日公表の「業務取扱要領」や「点検・検討マニュアル」などで紹介されていた。今回の更新では「協定の対象労働者を労働契約期間によって限定する例」「ひとつの労使協定に複数の職種を記載する場合の記載例」「職種ごとに、賃金構造基本統計調査の賃金と職業安定業務統計(ハローワーク)の賃金を使い分ける場合の記載例」などが盛り込まれた。

 改正派遣法について厚労省は、昨春の「業務取扱要領」公表以降、同年7月8日付で「労使協定方式」を採用する際に用いる職種別賃金水準(局長通達)を発令。同8月19日に「労使協定方式」に関する「Q&A」第1集(38項目)、同11月1日に「Q&A」第2集(20項目)、同12月26日には「派遣先方式」の「Q&A」(20項目)を公表している。2方式のうち、「派遣先方式」は派遣先からの「賃金を含む正しい情報提供」に頼らざるを得ないだけに、新制度の規定だけでは一定の危うさがつきまとい、行政による指導・監督のあり方など施行後の動きが注目されている。

 働き方改革関連法の中の「雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保」に伴う派遣法の改正で、「派遣先方式」か「派遣元の労使協定方式」のいずれかの確保が義務化される。「労使協定方式」を選択する場合には、原則として局長通達の賃金水準より同等以上であることが要件となる。一部、独自統計(一定の要件を満たす民間統計)も認める。

 

【厚生労働省ホームページより】
派遣労働者の同一労働同一賃金について

 

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