ニュース記事一覧へ

2020年1月22日

「将来ビジョン2030」を策定、活動領域拡大へ 名称変更も視野 技能協の2020年新春講演会

n200122_1.jpg 日本生産技能労務協会(JSLA、青木秀登会長)は22日、都内で2020年新春講演会とシンポジウムを開いた=写真・上。4月から施行される派遣事業を含む同一労働同一賃金への関心が高く、活発な意見交換が行われた。

 厚生労働省の松原哲也需給調整事業課長が「労働者派遣事業の課題と今後の動きについて」と題して講演し、同一労働同一賃金を規定したパートタイム・有期雇用労働法(大企業)や労働者派遣法が4月から施行されることについて、「派遣先企業の理解を得てスムーズなスタートが切れるよう、業界に強く期待する」と述べた。

 続いて、同協会の平尾隆志理事長が、昨春から手掛けてきた「JSLA将来ビジョン2030」を披露して概要を解説。09年の政策提言、12年の「JSLA将来ビジョン2020」に次ぐ第3弾で、製造請負・派遣を軸としながら今後は物流、技術、販売、コールセンター、バックオフィスなど広範なアウトソーシングを網羅する必要があるとして、協会としてのビジョンを打ち出した。領域拡大に向けて協会の名称変更も視野に入れている。

n200122_2.jpg この後、中央大学大学院(ビジネススクール)の佐藤博樹教授をコーディネーターに、法政大学キャリアデザイン学部の坂爪洋美教授▽加納好道ローランド顧問▽青木会長▽平尾理事長の4人によるシンポジウムが開かれ、佐藤氏から「経済のグローバル化や人手不足によって、日本のモノづくりがどう変容し、業界はそれにどう対応すべきか」とのテーマが提示された=写真・下

 加納氏は長年の海外生産現場の体験を踏まえ、「どの企業にも強みとともに"弱み"がある。10年先にはそこをカバーする売り込みや提案を持ち掛けられるような人材育成がカギになる」と述べ、坂爪氏は「派遣・請負スタッフに対する目的を定めたキャリアコンサルティングの浸透が重要」と助言した。青木氏は「付加価値の高いサービスを提供するには、かなりの資本力や人材力が必要になる」、平尾氏は「社員の定着が重要であり、キャリア意識を持ってもらう働きかけが重要だ」などと、次代を見据えて請負・派遣現場の新展開を多面的に深掘りした。

 講演会後の懇親会で青木会長があいさつし、「同一労働同一賃金のスタートを直前に控え、業界は請負先・派遣先企業との料金交渉で大変苦労している。しかし、これがスタッフの処遇改善につながり、より付加価値の高いサービスを提供できる好機になることを理解してもらいましょう」と強調した。

【関連記事】
2030年を見据えた「将来ビジョン」策定へ
技能協の19年度定時総会・講演会(2019年5月22日)

PAGETOP