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2020年6月26日

精神障害の請求、過去最高 厚労省の19年度労災補償

 厚生労働省が26日発表した2019年度「過労死等の労災補償状況」によると、脳・心臓疾患の労災請求件数は936件(前年度比59件増)で、そのうち業務上と業務外の決定件数は684件(同5件減)。決定件数のうち、業務上と認定した支給決定件数は216件(同22件減)となり、認定率は31.6%(同2.9ポイント減)だった。

 このうち死亡事故は請求件数が253件(同1件減)、決定件数は238件(同21件増)、支給決定件数は86件(同4件増)、認定率は36.1%(同1.7ポイント減)となり、最低水準だった昨年度から上昇した。

 これに対して、精神障害の労災補償は請求件数が2060件(同240件増)、決定件数が1586件(同125件増)、支給決定件数が509件(同44件増)、認定率は32.1%(同0.3ポイント増)となった。請求件数は1983年度の統計開始以来の過去最高を記録した。

 このうち、自殺(未遂を含む)は請求件数が202件(同2件増)、決定件数が185件(同14件減)、支給決定件数が88件(同12件増)、認定率は47.6%(同9.4ポイント増)と大きく増えた。

 請求件数で多い業種は、「社会保険・社会福祉・介護事業」の256件、「医療」の169件と医療・福祉分野が例年同様に突出して多く、支給決定件数も各48件、30件となった。決定件数を年齢別にみると、最も多いのは「40~49歳」の503件、次いで「30~39歳」の426件となり、依然として働き盛りが多い。また、就労形態別では正社員が1304件で8割以上を占めている。

 決定件数の理由では「上司とのトラブル」が最多の294件で、次いで「仕事内容などの大きな変化」が207件、「嫌がらせ、いじめ、暴行など」が174件と突出しており、例年通り職場の人間関係が大きな要因になっている。6月から施行されたパワハラ防止法が今後の歯止めになるかどうか、注目される。

 一方、裁量労働制下の就労者の労災は、脳・心臓疾患で決定件数3件(うち支給決定件数2件)、精神障害で24件(同7件)と、前年の各10件、5件を上回った。裁量労働制には専門業務型と企画業務型があるが、脳・心臓疾患、精神障害ともにほとんどが専門業務型だった。


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