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2020年7月 1日

「いじめ・嫌がらせ」が8年連続トップ 厚労省の19年度個別労働紛争解決

 厚生労働省は1日、2019年度「個別労働紛争解決制度の施行状況」を発表した。それによると、総合件数は118万8340件(前年度比6.3%増)で、そのうち民事上の個別紛争相談は27万9210件(同4.8%増)、労働基準法違反が疑われる件数は19万6272件あった。

 総合件数はリーマン・ショック直後の09年度の約114万件をピークに減少傾向をみせたが、15、16年度と2年連続で上昇に転じ、17年度は再び約110万件に減少、18年度の再上昇と"一進一退"の状態が続いていたが、19年度は大きく伸び、2年連続の増加となった。

 これに対して、民事上の相談件数はほぼ一貫して増加が続き、18、19年度と2年連続で過去最高を更新した。このうち、労働局長による助言・指導の申し出が9874件、紛争調整委員会によるあっせん申請が5187件あり、あっせんの結果、5163件について合意や取り下げ、打ち切りなどで処理した。

 民事上の相談件数(延べ34万2966件)のうち、最も多いのは「いじめ・嫌がらせ」の8万7570件で、次いで「自己都合退職」の4万81件、「解雇」の3万4561件などが上位を占め、例年と同じ傾向だった。「いじめ・嫌がらせ」は過去11年で急増しており、19年度は前年度比5.8%増。他の相談が微増、横ばいの中で顕著に伸びており、8年連続でトップとなっている。

 個別紛争の解決制度のうち、厚労省の各労働局で実施している総合相談、助言・指導、あっせんは、費用が掛からず、短期処理が可能なことから、トラブルを抱えたサラリーマンらの利用が多く、12年連続で100万件を超える"高止まり"状態が続いている。この6月からパワハラ防止法が施行されたが、厚労省は「いじめ・嫌がらせ」の中にパワハラがかなり含まれているとみており、20年度に効果がどこまで出るか注目している。


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