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2020年11月 8日

コロナ禍で受診取りやめ、延期が約3割 希少難病患者・患者会調査

 新型コロナウイルスの感染拡大に対して、難病患者・家族の9割以上が「脅威」を感じ、主治医との面談や検査をキャンセル・延期したり、通院頻度が長くなった人が3割前後いたことがわかった。支援団体のNPO法人ASrid(西村由希子理事長)が7日、難病・慢性疾患全国フォーラムの場で明らかにした。

 新型コロナに対する脅威は、患者自身の52%が「非常に高い」、38%が「高い」と認識、家族も72%が「非常に高い」、24%が「高い」と回答。このため、主治医との面談は4%がキャンセル、33%が延期した。同様に、検査も3%がキャンセル、23%が延期しており、通院頻度も26%が「長くなった」と答えている。

 治療の中断に対して、「生命の危機」と感じた患者が58%、家族も56%いた。「健康に悪影響」と感じた人も各74%、75%いたが、29%の患者がオンライン診療を経験しており、そのほとんどが「役に立った」と回答した。

 これらの状況に対して、メンタルヘルス面では80%以上の患者・家族が「不満や憂うつ」を感じ、約半数が「無力感」にさいなまれる一方で、60%以上が「家族との絆」を感じていた。

 また、難病患者団体の79%がコロナ禍のため「活動機能が低下」「まったく機能せず」と回答。具体的には総会、交流会・講演会・相談会、講演・講師活動を挙げる団体が多数を占めた。

 希少難病の患者・家族は「薬がない」「治らない」という日ごろからの状況に加え、新型コロナによって「感染する」懸念材料が加わったことから、健常者や患者数の多い疾患以上に日常生活における影響が大きい。ASridは5~11月、国際調査の一環として実施し、国内の患者・家族363人、69の患者団体から有効回答を得た。今回はその第1次報告。

 難病患者・家族に対しては厚生労働省が4月、感染リスクを減らすため医療費助成の受給者証の有効期間を1年間自動延長し、万一感染した場合の入院先の確保などを自治体に要請している。


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