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2021年1月20日

コロナ禍を乗り切る手立てと新時代の展望探る 技能協のオンライン新春講演会

 国内唯一の製造請負・派遣の業界団体である日本生産技能労務協会(技能協、青木秀登会長)は20日、新型コロナウイルスの感染拡大を考慮しオンライン新春講演会「Beyondコロナ!~これからの成長戦略を考える」を開いた=写真。今年は同協会理事によるパネルディスカッションを展開。青木会長を進行役に土肥貞之・ウィルオブ・ファクトリー社長▽清水浩二・日研トータルソーシング社長▽猪又明美・東洋ワーク社長▽清水竜一・日総工産会長兼社長の4人が、コロナ禍における自社の取り組みなどを話した。

n210120.jpg 青木氏は冒頭のあいさつで「昨年は同一労働同一賃金の施行で賃金アップを実現したが、今年はコロナ下での雇用維持が最大の課題となっている。この3月末が契約更新の最大のヤマ場となっており、粘り強い交渉を通じて雇用維持に努力していただきたい」と呼び掛けた。

 続くディスカッションで、土肥氏はコロナ禍によって業績がマイナスとなり、外国人労働者の稼働者数が大きく減少した点などを挙げ、グループ企業内の配置転換や非接触型システムの構築などの対応策を披露。清水浩二氏はオンライン面接の活用やテレワークのフォローなどを通じて、昨年12月には稼働率をコロナ前の100近くに戻したと説明。

 猪又氏は3月初旬の早期にコロナ対策本部を立ち上げ、雇用調整助成金の活用などでスタッフの給与全額補償を実現したことを解説。清水竜一氏は、コロナの前後では社会が根本的に変化しているとの前提に立ち、AI人材の育成などに重点的に取り組んでいることを説明した。

 青木氏が経営者としてどんな点に留意しているか聞いたところ、清水浩二氏は「不安を払拭するメッセージを発し続けること」、猪又氏は「リーマン・ショック当時は(雇用維持ができず)本当に辛かったが、その経験を今回生かすことができている」、清水竜一氏は「人材育成が柱。顧客企業のDX化を業界の共通インフラにすることで乗り切れる」と強調するなど、リーマン当時の教訓を生かす努力が奏功している様子がうかがわれ、コロナ禍を乗り切るヒントが多数散りばめられていた。

 講演会に先立ち、田村憲久厚生労働相ら国会議員がビデオメッセージを寄せ、田村厚労相は「法律に定められている派遣労働者の雇用安定措置や雇用調整助成金の活用などを通じて、何としても雇用の維持に努めていただきたい。政府も支援する」と改めて業界に要請した。


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