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2021年1月29日

昨年12月の有効求人倍率1.06倍、完全失業率2.9%

n210129.png 厚生労働省が29日発表した昨年12月の有効求人倍率(季節調整値)は前月と同じ1.06倍となった。求人倍率は9月の1.03倍を底に、10月以降は徐々に上昇を続けているものの、11月から新型コロナウイルスの感染第3波が押し寄せ、年明け1月になって首都圏で再び緊急事態宣言が出されるなど、雇用の先行きは明るくない。都道府県別(就業地別)では前月と同様に福井県の1.62倍が最高で、最低は沖縄県の0.79倍だった。

 新規求人倍率は2.07倍で前月比0.05ポイント上昇。新規求人数(原数値)は前年同月比18.6%減で、業種別では建設の同6.5%増を除くと、宿泊・飲食サービスが同31.4%減、生活関連サービス・娯楽が同30.8%減、卸・小売りが同28.3%減など、感染第3波の影響を受けて大きく落ち込んでいる。

 また、正社員の有効求人倍率(季節調整値)は前月比0.01ポイント増の0.81倍となった。

 一方、厚労省がハローワークなどを通じて集計している解雇・雇い止め数(見込みを含む)は1月22日時点で延べ8万3000人を超えており、11月から本格化している感染第3波の影響が懸念されている。

 総務省が29日発表した昨年12月の就業者数は6666万人で、前年同月比71万人減、9カ月連続の減少となった。完全失業者は194万人と同49万人の増加で、11カ月連続の増加となった。

 この結果、完全失業率(季節調整値)は前月と同じ2.9%となった。男女別では男性が3.1%、女性が2.7%で、男性は前月から0.1ポイント改善、女性は0.3ポイント悪化した。

 形態別雇用者数では役員を除く雇用者5626万人のうち、正社員は3534万人で前年同月より16万人増えた一方、非正規社員は2093万人で同86万人減の大幅減となった。非正規率は前月から0.3ポイント低下の37.2%。非正規で大きく減っているのはアルバイトの466万人(同38万人減)とパートの1017万人(同31万人減)で、派遣社員は145万人で同5万人増加した。

 また、12月の休業者は202万人で前月比26万人増、前年同月比16万人増と再び増加傾向を強め、8月の216万人以来4カ月ぶりに200万人台を超えた。

20年の有効求人倍率1.18倍、完全失業率2.8%

 この結果、20年の平均有効求人倍率は1.18倍(前年比0.42ポイント減)と2年連続で低下した。この下げ幅は第1次石油ショックの影響を受けた1975年以来、45年ぶりの下げ幅。求人倍率はリーマン・ショックで落ち込んだ09年の0.47倍を底に、18年まで9年連続で上昇した。19年は1.60倍(同0.01ポイント減)とわずかに前年を下回ったが、水準自体はまだ高止まりしており、人手不足が続いていた。

 しかし、20年はコロナ禍によって経済活動は一気に冷え込み、労働力の需給バランスが逆転。非正規を中心に雇用に打撃を与え、年間の有効求職者数は同6.9%増だったが、有効求人数は同21.0%減と大きく落ち込んだ。

 一方、20年の平均完全失業率は前年比0.4ポイント上昇の2.8%となり、11年ぶりに悪化した。男性が3.0%(同0.5ポイント上昇)、女性が2.5%(同0.3ポイント上昇)と、どちらも悪化した。

 就業者は6676万人(同48万人減)と8年ぶりに減少。完全失業者は191万人(同29万人増)と11年ぶりの増加。雇用者のうち正社員は3539万人(同36万人増)と6年連続の増加、非正規社員は2090万人(同75万人減)だった。非正規比率は37.1%で前年から1.1ポイント低下した。

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