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2021年6月22日

最低賃金の引き上げ議論開始 コロナ禍で労使の対立深刻

 厚生労働相の諮問機関である中央最低賃金審議会(藤村博之会長)は22日、2021年度の最低賃金の引き上げ幅に向けて議論を始めた。21年度は20年度に続いて新型コロナウイルス下での対応が焦点で、傘下の「目安に関する小委員会」(藤村委員長)で具体的な水準を審議し、7月下旬に答申をまとめる予定だ。

 政府は18日に閣議決定した「骨太の方針」の中で、最低賃金(最賃)について「感染症下でも引き上げてきた諸外国の取り組みも参考にして、感染症拡大前にわが国が引き上げてきた実績を踏まえ、地域間格差にも配慮しながら、より早期に1000円を目指す」としており、この日も三原じゅん子厚労副大臣が「1000円実現への第一歩となるよう審議をお願いしたい」と引き上げに対する強い期待をにじませた。

 昨年度はコロナ禍によって「目安」が出せず、前年度比0.1%(1円)増の902円に終わり、コロナ禍前の16~19年度の平均約3%の伸びが腰折れする結果となった。今年度も、経営者側は宿泊・飲食など最賃に近い水準の業界が厳しい状況に置かれていることなどから、引き上げ凍結を要求。これに対して、労働者側は「賃上げを経済の好循環に結び付ける」(連合)として大幅上昇を求めて鋭く対立している。

 労使の隔たりは大きいが、昨年度に続く「ゼロ回答」になると労働側の反発が強まるうえ、政府も「早期に1000円実現を」と強く要請したことから、目安小委も昨年度を上回る何らかの「目安」を出さざるを得ないのではないか、との見方が広がっている。


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