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2021年6月25日

適用労働者の方が長時間労働 厚労省の裁量労働制調査

 厚生労働省が25日発表した裁量労働制に関する調査によると、同制度の適用労働者と非適用労働者を比べると、労働時間も労働日数も適用者の方が多いという結果が出た。厚労省は同日開いた「裁量労働制実態調査に関する専門家検討会」に報告し、今後の検討資料にする。

 労働者への調査では、1日の平均労働時間について適用労働者が9時間0分だったのに対して、非適用労働者は8時間39分で、適用者の方が21分長かった。また、1週間の平均労働日数も各5.03日と4.97日で、裁量制労働者の方が労働時間も労働日数も多かった。

 調査は2019年10月末の状況について11~12月、企業と労働者に対して実施し、適用企業と非適用企業を各約7000カ所、適用労働者約4万7400人、非適用労働者約4万人から有効回答を得た。

 裁量労働制は、みなし時間分の給与が支払われ、時間配分や仕事の進め方などは労働者が決める。弁護士などの「専門業務型」と企画・調査などを担う「企画業務型」の2種類がある。経済界から「柔軟な働き方ができる」として対象拡大の要請が強く、政府も推進していたが、労働者側からは「『定額働かせ放題』制度」との反発も強かったうえ、厚労省の調査に不適切なデータが多数見つかったため、働き方改革法案から対象拡大部分が削除され、議論が仕切り直しとなった経緯がある。


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