ニュース記事一覧へ

2021年10月13日

中小企業が踏ん張って「減収増益」 3月期決算17万社、東商リサーチ

 東京商工リサーチが13日発表した全国企業約17万社の21年3月期決算は「減収増益」となった。コロナ禍で売上高は減ったものの、人件費削減などの企業努力や各種支援金などの下支えによって利益を確保したとみられる。同社は「1年半以上に及ぶコロナ禍で企業の疲弊感が募る中、緊急避難的な支援はいずれ終了するため、支援頼みの経営は限界に来ている」と厳しい見方をしている。

 増収企業の割合は、大企業が32.1%(前期比15.8ポイント減)、中小企業が37.5%(同9.8ポイント減)で、企業規模を問わず大きく減少した。しかし、利益総額(当期純利益)は38兆8709億円(同5.2%増)と増え、大企業の増益比率が同1.1%減だったのに対して、中小企業は同44.6%増と大幅改善したのが目立った。

 同社によると、大企業は売り上げ不振、設備などの減損処理、リストラ費用などで最終赤字が膨らむ企業が多かった一方、中小企業は固定費の圧縮効果、雇用調整助成金や持続化給付金などの各種補助が増益につながったとみられる。中小の黒字企業の割合も74.1%(同1.9ポイント増)に増えた。

 中小企業の場合、10産業のうち黒字企業の割合が最も低かったのはサービス業他(飲食、宿泊、旅行など)の70.2%(同4.5ポイント増)だったが、それでもこの5年間で初めて70%台に乗せている。

 調査は全国の3月期決算企業17万76社分を集計した。資本金1億円以上を大企業、同1億円未満及び個人企業を中小企業に分類している。

PAGETOP