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2022年8月24日

派遣「労使協定方式」、来年度の一般賃金水準を公表へ 法施行後、賃金上昇など待遇改善

 厚生労働省は、派遣元が労働者派遣法に基づく「労使協定方式」を採用した場合に用いる「来年度の一般賃金水準」について、直近の令和3(2021)年(度)の統計調査を用いて集計した。24日開かれた労働政策審議会労働力需給制度部会(山川隆一部会長)に諮り、公労使の了承を得た=写真近く局長通達として発令、公表する見通しだ。一般賃金水準の局長通達は今回で4回目となる。

n220824.jpg 厚労省は一昨年、「新型コロナウイルス感染症拡大が経済と雇用に与える影響を見極めたい」として、運用のあり方を検討。その結果、「原則として直近の統計調査を用いる」とする一方で、職種・地域ごとに一定の要件を満たした場合に限り「今年度適用している水準を維持することも可能」とする例外的対応も示した。

 その後、コロナは沈静化しなかったものの、昨年は(1)20年(度)の統計調査には新型コロナの影響が反映されている(2)直近の派遣労働者の雇用者数が増加傾向――を理由に、「例外的対応は設けない」とした。今年もこの考え方を踏襲した形で、原則通りの対応で進める。

 いわゆる「同一労働同一賃金」に伴う20年4月施行の改正労働者派遣法は、派遣労働者の賃金や待遇について「派遣先均等・均衡」(派遣先方式)か「派遣元の労使協定」(労使協定方式)のいずれかの待遇決定方式を義務化。この選択制2方式のうち、「労使協定方式」を選んだ場合には、局長通達の一般賃金水準より同等以上であることが要件となる。施行3年目の現在運用されている賃金水準は、「2020年賃金構造基本統計調査による職種別平均賃金」(賃構統計)と、「2020年度職業安定業務統計の求人賃金を基準値とした一般基本給・賞与等の額」(ハロワ統計)の2種類が基になっている。毎年夏をメドに来年度適用分の局長通達が公表される仕組みだ。

 厚労省はこの日、同部会に改正法施行前と施行後の変化に関する調査結果(概要)を示した。それによると、「派遣先方式」を選択している事業所が約1割、「労使協定方式」が約9割、労使協定の締結主体は「過半数代表者」が9割以上、労使協定の有効期間は「1年」が約7割だった。

 また、法施行前と比べて、約半数の事業所で派遣労働者の賃金が上昇。具体的には、「派遣先方式」が48.6%、「労使協定方式」は50.9%、「2方式の併用」は79.6%の事業所で上昇した。逆に「減った」と回答したのは、いずれの方式も0.0%~0.6%とわずかだった。このほか、派遣労働者に適用されている各種手当は、法施行後の適用割合が上昇している(労働政策研究・研修機構調べ)。

 なお、近く局長通達で示す来年度適用分は、21年の賃構統計と21年度のハロワ統計が基となり、一般賃金水準に用いる各指数も更新される。主なところでは、「通勤手当」が71円(時給換算)から変更なし、「学歴計初任給との調整」は12.7%から12.4%、「退職金割合」は6%から5%になっている。

 これらの調査結果や来年度の一般賃金水準について労使委員は...

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