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2023年1月 6日

昨年11月現金給与、8カ月連続の実質減 減少幅も8年半ぶり水準、厚労省毎勤速報

 厚生労働省が6日発表した毎月勤労統計の昨年11月速報値(従業員5人以上)によると、労働者1人あたりの現金給与総額は28万3895円(前年同月比0.5%増)で11カ月連続のプラスだった。

 しかし、物価上昇分を差し引いた実質賃金指数(2020年=100)は85.3(同3.8%減)で、昨年4月以降8カ月連続のマイナスとなった。マイナス幅も拡大しており、4月当時の1%台から10月には2.9%になり、11月は3%台に突入。物価上昇に対して賃金の上昇が追いつかない局面が拡大している。3.8%の落ち込みは消費税率が5%から8%にアップした直後の14年5月の4.1%に次ぐ水準。

12月は大手を中心に冬ボーナスを増額した企業が多かったことから、マイナス幅は縮小する可能性があるが、基調自体に大きな変化はないと予想され、今年の春闘の賃上げがこれまでになく注目されそうだ。

 就労形態別の現金給与額は、正社員が中心の一般労働者が36万8358円(同0.2%増)、パートタイム労働者は10万1888円(同2.2%増)となった。残業代などの所定外給与が一般労働者は2万7350円(同5.0%増)、パート労働者は2792円(同7.4%増)となり、伸び率は鈍っている。

 産業別の伸び率では、「飲食サービス等」が人手不足を反映して同5.6%増と最も高く、「鉱業・採石等」が同5.3%増、「運輸・郵便」が同4.3%増と伸びたものの、「教育・学習支援」が同3.5%減、「製造業」も同2.0%減など、4つの産業でマイナスになった。

 月間総実労働時間は139.1時間(同0.2%減)で2カ月連続の減少。常用雇用者数は5172.1万人(同1.1%増)で、パートタイム比率は31.77%(同0.04ポイント減)だった。

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