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2023年3月15日

「賃上げを中心とする人への投資」日本BPO協会と連合が共同宣言、相互の対話と連携を確認

230315_1.jpg 製造請負・派遣の業界団体・日本BPO協会(清水竜一会長)と連合(芳野友子会長)は15日、派遣労働者・有期雇用労働者が安心して働くことができる環境整備に向けて「共同宣言」を締結した。日本BPOの清水会長=写真上左=は「働く人の市場価値が上がるスキル向上を支援して評価をいただき、単価を上げて処遇を改善に結び付けることに注力している。連合と力を合わせ、大手メーカーの理解を得ながら賃上げを含む労働市場の課題に挑みたい」と強調。連合の清水秀行事務局長=写真上右=は「連合は緊急アクションとして賃上げの社会的気運の醸成に精力的に取り組み、手応えを得ている。労使のコミュニケーションがさらに重要になっている」と、賃上げに向けた連携強化を確認した。

 労働法制の改正などを巡る日本BPOと連合の共同宣言は、2020年から4年連続で通算6回目。また、長時間労働の是正に向けた共同宣言も19年に締結しているほか、これまでに連合最大の産業別労働組合・UAゼンセンと「労使メッセージ」を調印するなど、意見交換を継続している。今回は、賃金も物価も経済の安定的に上昇する姿へとステージを変えるために、賃上げを中心とする人への投資を進めることが重要との認識で一致し、春闘集中回答日のこの日、2023年の共同宣言にこぎ着けた。

230315_2.jpg 共同宣言には、いわゆる「同一労働同一賃金」をはじめとする近年の労働法制の動きを記したうえで、「健全な労使関係のもとで、請負・派遣労働に関する適正な需給調整という重要な社会的機能を担うBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)、派遣業界の健全な運営など、派遣・有期労働者が安心して働くことのできる環境を不断に整備しなければならない」と明記。連合は労働組合のナショナルセンターとして、相互の対話を深めつつ、それぞれの組織または共同で諸課題の解決や達成に取り組むことを申し合わせた。

230315_3.jpg 連合会館で行われた意見交換と共同宣言には、日本BPOの清水会長ら7人=写真中=、連合は清水事務局長ら幹部7人=写真下=が顔をそろえた。日本BPO側は、会員の協力を得て独自に定点観測している「製造請負・派遣事業動向調査」のポイントや、協会で策定した「将来ビジョン2030」の第1期中期事業計画(21~24年度)の取り組み状況などを説明。連合側は、「雇用安定・処遇改善等に向けた取り組み」や「2023春季生活闘争~ジェンダー主流化への道」、連合「なんでも労働相談ホットライン2022」の年間集計などを解説したあと、諸課題について活発に意見を交わした。

 今回の共同宣言を踏まえて日本BPOの清水会長は、構造の変化が激しい自動車や半導体の動きから製造派遣を取り巻く直近の動向に触れ、「自動者のEV化によってエンジンやトランスミッションに携わってきた人たちが失職する可能性がある。半導体も90年代をピークに下降し、再起をかけた量産の挑戦が始まっているものの、現在のテクノロジーに対応できる人を育成しなければならず、労働移動と育成の両方が業界の喫緊の課題だ」と指摘。リスキリングによるこの分野で働く人たちの能力開発の重要性を連合側と共有した。

 連合の清水事務局長は「今年の春闘は本日の集中回答を皮切りに本格化する。すべての働く仲間を守り、つなげていく底上げの運動を展開しており、それには健全な労使関係の確立が大切だ」と述べ、「これからも日本BPO協会との相互の対話を深め、職場づくりと社会環境の整備に努力をしていく」と、一層の連携を呼び掛けた。

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