厚生労働省は14日、2025年「賃金引上げ等の実態調査」を発表した。それによると、1人平均の賃上げ月額は1万3601円(前年比4.4%増)となり、賃上げ額・率とも1999年以降の最高となった。賃上げは23年から3年連続で大幅に増加し、24年は1万円を超え、25年はさらに上がった。
賃上げ内容では定期昇給とベースアップ(ベア)の両方のある企業のうち、賃上げの主力となるベアを実施・実施予定の企業は57.8%、実施しない・しない予定の企業は15.1%だった。
企業規模別では従業員5000人以上企業が1万6784円(同5.1%増)と最も高く、規模が小さくなるほど減少。同100~299人企業では1万264円(同3.6%増)にとどまるなど、例年と同じ傾向だった。
金額で高かった業種は「建設業」の2万724円(同5.9%増)、「電気・ガス・熱供給・水道業」の1万9611円(同5.3%増)など。低かったのは「医療・福祉」の5589円(同2.3%増)、「生活関連サービス、娯楽業」の7744円(同2.9%増)などで、医療・福祉は依然として低水準で推移しており、人手不足の大きな要因になっている。
また、労組のある企業では1万5229円(同4.8%増)、労組のない企業は1万1980円(同4.0%増)となり、前年と同様に労組のある企業の方が金額・率とも高かった。
調査は常用労働者100人以上の企業から抽出して7~8月に実施。対象3643社のうち有効回答1847社分を集計した。平均賃金は残業代、休日手当などを除いた所定内賃金。