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2018年3月 6日

【書評&時事コラム】「人間関係」に疲れた高齢者

 前回コラムの続きのようになるが、政府が2月に発表した「高齢社会対策大綱」なるものの中に、「65歳以上を一律に高齢者とみる傾向は現実的でなくなりつつある」というくだりがあった。「元気な高齢者に合う社会」「年齢にとらわれないエージレス(年齢に無関係、という意味かな?)社会」といったイメージを描いているそうだ。

 しかし、要は「元気なうちは働き続けてほしい」「その分、公的年金の支給開始時期も遅らせたい」というメッセージなんだろな。その手には乗らないよ。「今後はシルバー世代ではなく、プラチナ世代と呼ぼう」などと持ち上げられようが、友人の高齢者たちも「いつまで働けばいいんだい」とウンザリ顔が多い。

c180306.jpg なぜかと思って聞いてみると、「仕事は続けたいが、疲れた」という声が多く、疲れる理由が給料や待遇以上に「人間関係」を挙げる人が随分いる。現代の仕事はサラリーマンが圧倒的に多いから、職場の上司や部下との人間関係にはだれしも気を遣う。が、それが10年、20年と積み重なれば、いつしか“勤続疲労”を招くことは私でもわかる。

 「元気なうちは働きたい」と望む高齢者は多いが、一方で、定年後ぐらいは人間関係に気を遣わずに済む仕事に就きたいとも思っている。それが実現できれば、高齢者はもっと生き生き働けるはずだ。それほど、職場の人間関係は大切なのだが、後続世代には「あんな元上司と、また一緒に仕事なんかしたくない」と思われているOBも少なからずいるんじゃないかな。その点、私も自信はない。(俊)
 

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