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2016年10月27日

「日本型雇用システムの改革を」  高活協シンポ「65歳以上をどう生きるか」

 高齢者活躍支援協議会(高活協)などが主催するシンポジウム「65歳以上をどう生きるか!どう働くか!」が27日、都内で開かれた=写真。同協議会は上田研二・高齢社会長が「業界別の高齢社普及」を目的に立ち上げた社団法人で、シンポは今回で7回目。

n161027_1.jpg この日は、労働政策研究・研修機構の濱口桂一郎・主席統括研究員が「変わる中高年の雇用環境」と題して講演。濱口氏は、日本型雇用システムが生まれ、定着した歴史を紹介しながら、システムの中核に男性中心の「無限定正社員」モデルがあるとして、スペシャリストが育ちにくい就労環境がそのまま高齢者就労のネックになっていることを示唆した。

 これを受けたパネルディスカッションでは同協議会の岡本憲之・副理事長の司会で幸山明雄・高齢社相談役、小松剛之・高年社60社長、金森道郎・イー・ナレッジ会長の3人がパネリストとなって、高齢者の就労実態について報告、議論した。

 幸山氏は、高齢社がガス器具メンテナンスなどの派遣を主要業務としていることから、「管理職といった地位に付随する仕事はない」「派遣会社に義務化されたスタッフのスキルアップ教育は、高齢者にはなじまない」などと述べた。小松氏は、静岡県富士市に立ち上げた高年社60が地元メーカーに専門家らを派遣している状況を紹介し、「時間厳守、強い責任感、礼儀・マナーの徹底など、高齢者の評価は高い」と説明。金森氏は、大企業管理職の研修などを通じて、「管理職OBは使い道がないと言われるが、各個人の個性や強みを見極めることで、再就職できる可能性は広がる」と強調した。

 同協議会は「高齢社モデル」の普及が大きな目的だが、現実には普及が遅れており、岡本氏は濱口氏と同様に、「普及には日本型雇用システムの改革が急務」と分析している。

 

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