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2018年2月 8日

働き方改革関連法案、厚労省が施行期日の修正案を与党と協議  政府、2月中の国会提出目指す

 政府が2月中の国会提出を目指している「働き方改革関連法案」(8法案セット)について、厚生労働省は「原則2019年4月」としていた施行期日を1年遅らせる方向で与党と本格協議に入った。法案の成立が6月以降となる公算が高まり、企業に一定の準備期間が必要と判断したもの。昨秋の臨時国会の冒頭解散以降、厚労省は施行期日の“延期幅”などを水面下で検討してきており、法案提出前の与党協議を進めるにあたって公表した格好だ。

 「働き方改革関連法案」は、(1)「残業時間の罰則付き上限規制など長時間労働の是正(労働基準法や労働安全衛生法などの改正)」、(2)「同一労働同一賃金を目指す雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保(パートタイム労働法や労働契約法、労働者派遣法の改正)」、(3)「高度プロフェッショナル制度の創設・裁量労働制の業務範囲の明確化(労働基準法などの改正)」――の3つに分けられる。

 当初、昨年9月に労働政策審議会(厚労相の諮問機関)が了承した法案要綱では、施行期日を「原則2019年4月」とする一方、同一労働同一賃金関係は中小企業に派遣法を除いて1年間の猶予を設けていた。

 今回の施行期日の修正を盛り込んだ厚労省案を整理すると、(1)「残業時間の罰則付き上限規制」は大企業が当初案通り19年4月、中小企業だけ20年4月へ。(2)同一労働同一賃金は大企業、中小企業ともに当初案から1年遅らせてそれぞれ20年4月、21年4月へ。(3)「高度プロの創設」は当初案通り大企業、中小企業ともに19年4月で変更なし――となっている。

 厚労省はこれらの修正案を7日までに自民党の厚生労働部会などに提示。更なる修正の有無などを含めて与党側との協議を詰めていく方針で、政府は2月中に集約して法案を閣議決定し、国会提出にこぎ着けたい考えだ。国会審議は(3)の高度プロの創設を中心に野党の反発が必至の情勢で、法案の行方は会期の終盤まで注目される。

 また、法案成立後には派遣法改正に関する①派遣先の労働者との均等・均衡による待遇改善、②派遣元との労使協定による一定水準を満たす待遇決定――のいわゆる「選択制2方式」について、実効性ある運用に向けた詳細を労政審・同一労働同一賃金部会で議論する流れとなっている。
 


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