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2018年10月31日

若者の「初期キャリア」の重要性を提言  全求協の研究会、求人メディアの役割も考察

 公益社団法人・全国求人情報協会(全求協・鈴木孝二理事長)は31日、「若者にとって望ましい初期キャリアとは~調査結果からみる“3年3割離職”の実情」を発表した。大卒就職者の「入社後3年以内の離職率3割」という状況が約20年間にわたって続いている背景と実態を切り口に、早期離職自体のみを問題視するのではなく、転職も含めた卒業後数年間の「初期キャリア」で自信や納得感を獲得できる仕組みづくりが重要な社会的課題と分析。そのうえで、「初期キャリア」形成の環境づくりの一端を担う求人メディアが貢献できる役割と取り組みについて掘り下げている。

n181031.jpg 調査・分析は、同協会に設置した「若者の就職・転職の在り方に関する研究会」が実施。この日、都内で記者会見した中央大学大学院戦略経営研究科(ビジネススクール)の佐藤博樹教授が座長=写真=を務め、早期離職の現状や背景・要因に関するこれまでの調査や新たに実施した個人調査(インターネット調査・今年6月実施)の分析結果を踏まえ、提言を冊子にまとめた。

 調査・提言書は「若者の早期転職と初期キャリアの実態」と「若者が納得感を持って働くために求人メディア業界が目指すこと」の2部構成。それによると、入社後3年未満の離職を「早期離職」(30.5%)、その後に再就職した人を「早期転職」(25.3%)と呼び、「早期転職」に着目して分析。「早期転職」の満足度は約70%で、小規模企業への転職や賃金が減少する転職でも半数以上が「満足している」と回答しており、佐藤教授は「転職後の満足度を左右する要因は、仕事のやりがいや労働環境など多様な要素があると考えられる」としている。

 また、納得感の高さは、入社3年時点における「仕事理解」「自己理解」「キャリア積極性」の3要素との関係が強いことに注目して「望ましいキャリアの醸成プロセス」を調査。その結果、初期キャリアは「学生生活」「就職活動」「入社後の配属や定着」の各プロセスで醸成されると分析し、それらを獲得するための課題に踏み込んだ。

 求人メディアは3要素の観点を意識して、就職活動の準備段階から活動期において「自分に合った仕事や働き方は何か」「将来自分がなりたい姿は何か」を考えさせる機会提供と情報の充実に努めていくことが重要と提言。全求協は、既に取り組みをはじめているこれらの方向を加速させ、「若者が自律的なキャリア形成ができるよう支援を推進する」としている。

 

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