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2011年1月29日

【この1冊】 『絶対こうなる!日本経済』 

消費税、国債…「この国のかたち」に迫る

書評・対談.jpg『絶対こうなる!日本経済』
榊原英資vs竹中平蔵、司会・田原総一朗
発行・アスコム、定価952円+税

 経済分野の専門家で、日本の知性を代表する2人の対談形式。田原総一朗の司会というテレビ的雰囲気の漂う放談だが、書店にあふれる“経済モノ”の中でもひときわ面白い。それは、3人とも内外の政治家、官僚、企業経営者とのパイプが太く、現代日本の問題点を頭でなく、肌で痛感しているため。

 榊原氏と竹中氏は「宿敵」扱いされることが多い。それは竹中氏が自民・小泉政権下で規制緩和を大胆に進めた結果、民主党政権で強力な揺り戻しを受けている一方、榊原氏は民主党政権の重要ブレーンになっており、そうした立場の違いがクローズアップされるからだ。

 対談の中でも、国家ビジョンについて、榊原氏が「消費税を上げてフランス型をめざせ」と明確に主張するのに対して、竹中氏は「今の日本の制度化でフランス型をめざしたら、とんでもなく大きな政府になる」と疑問視する。

 一方、1000兆円になろうとする国債残高について、榊原氏は「国内消化されているから、それほど心配しなくていい」と楽観的なのに対し、竹中氏は「日本人が外債を買い始めており、危機は近いのではないか」と悲観的だ。

 しかし、こうした主張の違いにもかかわらず、両氏とも「内向き日本」「規制大国日本」という、より大きな共通の危機感を持ち、「そこを打破できないと日本の未来は暗い」という点で一致。そこに踏み込めない政治の非力にイライラしている様子が随所に出ている。対談だから論理構成は粗っぽいが、とてもわかりやすい。(りえ)

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