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2013年4月27日

【この1冊】『ノマドと社畜』

安易なノマド・ブームへの警鐘

c130427.jpg著者・谷本真由美
朝日出版社、定価880円+税

 

 「ノマド」がブームだそうだ。評者はその意味を知らず、「社畜」と対比してあったので本書を手にして、やっと意味がわかった。「場所にとらわれず、自由な働き方をする」「フリーランサーは個人事業主として、雇われずに働く」人たちのことを指す英語で、語源はギリシャ語の「遊牧民」だそうだ。

 それなら、「独立自営業者」「個人事業主」「個人請負」など、日本語にもたくさんありそうな気がするが、どうもニュアンスが違う。著者によれば、「その道のプロ中のプロ」でなければノマドとは呼ばないという。

 ノマドは労働量や労働時間では評価されず、契約通りの仕事を完璧にこなすという結果だけで評価される。まして、会社にいるかいないかなど、どうでもいい。その代り、契約以外の仕事は拒否し、クライアントに「どうしてもやって」と頼まれたら、上乗せ料金を請求する誇り高い一匹オオカミなのだ。日本の場合、かつての「渡り大工」みたいなものか。

 ノマドの本場は英国で、著者も英国のケースを詳細に紹介しているが、日本でブームを背景にした怪しげな「ノマド・セミナー」なんかが流行していることに我慢できないようだ。安直なブームに警鐘を鳴らしている。

 結局、ロクな蓄積も積んでいない若者にはノマド・スタイルは不可能であり、まずは「社畜」として組織で身を粉にして実力を磨き、それから独立するのが正しいノマドへの道ということらしい。もっとも、就職難が続く現代の若者には終身雇用も大きな魅力のようで、「社畜復権」の兆しもある。ノマドはブームで終わるかもしれない。(のり)

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