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2013年5月11日

【この1冊】『本当は強い阪神タイガース』

「ダメ虎」復活のヒントが満載

c130511.jpg著者・鳥越 規央
ちくま新書、定価740円+税

 

 およそ、タイガースファン以外の人には意味のない、手に取る気もしないであろうタイトルだが、序章の「『ダメ虎』幻想を打ち砕く」をさらっと立ち読みしたら、結構面白そう。というわけで、通読してしまった。
 著者は数理統計学を専攻する大学の先生で、セイバーメトリクスの専門家。セイバーメトリクスとは、野球データを統計学的見地から客観的に分析し、選手の評価や戦略を考える分析手法のこと。ブラッド・ピット主演の映画「マネーボール」で日本でも一躍知られるようになったが、米大リーグではメジャーになっても、日本ではまだマイナー分野。
 このセイバーメトリクス手法を駆使して、阪神の草創期から現代に至る監督・選手の実績を分析し、「本当は弱くなかった」ことを立証しようという“野心的な”試み。「ダメ虎」再生に望みをつなぐファンには、涙の出るようなありがたい書だ。

 とは言っても、そこは統計分析。「UZR」「ピタゴリアン期待値」「RC27」「ウィンシェアー(WS)」など、むずかしそうな用語が縦横無尽に飛び交い、単純なタイガースファン(ごめんなさい)にとっては??といったところか。しかし、「名監督の第一位は藤本定義」「史上最強の打者はランディ・バース」など、科学的な分析を経ても一般常識と同じ結果が導き出されるとホッとしたりもする。

 もっとも、こうした緻密な分析を通してもなお、著者が昨年予想した「阪神V」は見事にはずれ、5位に終わった。プロ野球の勝利予想とお天気の長期予報は、まず当たらないのが常識と思えばあきらめもつくが、05年以降、セリーグVから見離されているファンにとっては、ワラにもすがりたい1冊かも。

 ジャイアンツにだけはめっぽう強い今年は、ひょっとして……。本書が「虎復活」のバイブルになるかどうか、ごっつ期待してまっせ。 (のり)

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