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2015年9月19日

【この1冊】『ドイツ人はなぜ、1年に150日休んでも仕事が回るのか』

高い労働生産性を維持するヒント

c150919.jpg著者・熊谷 徹
青春出版社、定価880円+税

 

 日本で長時間労働が話題になるとき、同時に問われるのが労働生産性の低さであり、対比されるのがドイツの事情だ。書名から推察される通り、本書はドイツの労働生産性の高さの秘訣に迫っている。

 ドイツの労働者保護ルールは経営側には厳しく、労働時間は1日8時間、最長でも10時間と定められ、それが厳守される。さらに、多くの企業で年間約30日の有給休暇を付与し、取得率はほぼ100%(部下の有休取得は管理職に課せられた義務)。そこまで「休暇」にこだわる一方、実は「成果」も徹底して問う社会であった。労働者保護が手厚い代わりに費用対効果の追求は緩めないという暗黙の文化が根づいている様子だ。

 高い生産性の要因には、①「がんばり」ではなく「成果」を求める価値観、②労使の緊張感、③生真面目な国民性(法令遵守)の3点が認められるとし、関連法規やワークライフバランスに対する国民の意識を紹介。また、ドイツ社会にも欠点はあると認め、“いいとこ取り”を狙う働き方のアイデアを27項目に整理しているページも面白く読める。

(久島豊樹/HRM Magazine より)

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