省庁や都道府県庁、地方自治体で、組織の機構改革や新たな業務推進室の設置時に行われる「看板掛け」というセレモニー。新聞やテレビの報道でしばしば目にしたことがあるだろう。木製の板に達筆な書体で新組織の名前が書かれた看板が大半だ。その行政府のトップと所管を任されたの司(つかさ)の2人が両側から看板を手に撮影される。
新たな組織・室であるため、その活躍や推進力は未知数だ。そうした事情もあって、報道としては看板掛けの写真や映像に、目指す役割や所帯(職員数)、実行目標スケジュール、そしてトップの意気込みと抱負だけを載せることが多くなる。組織や会議体の中に、大物の学者や芸能人がいる時は、そこにスポットを当てることも。
20年以上にわたる省庁、県庁、市役所などの取材において、幾度となく経験してきた「看板掛け」の取材。実は、このセレモニーが報道の本命ではなく、それより前に「新機構・新設室設置へ」といった行政府が未公表の段階に他社に先駆けて執筆するのが“仕事”なのだ。
記者の宿命でもある「他社より先に書く」という習性、言い換えると「先に書かなければならない」という弱み。マンネリ化する「看板掛け」をどれだけ好意的に執筆してもらえるか、扱ってもらえるかを発信側である行政府も見抜いていて、記者の日ごろの努力の賜物であることが大半なものの、どこかの報道機関の記者に“内報”して、前向きで大きく(放送だと長く)報じてもらう策を講じることだって皆無でない。
地方自治体は年に1度ぐらいだったと記憶している「看板掛け」。最近の政府、または政府主導による各省庁の「看板掛け」は格段に増えている。新設された「何とか推進室」から配布される目的や役割の資料は、最近、別に発足した会議で見たことのあるような、あるいはかぶっている内容も見受けられる。関連する目玉人事や有識者についても、手法はパターン化している様子も。いずれにしても、記者は検証の眼を磨いて、利用されて読者や視聴者への「垂れ流し」だけには注意しないと、と自己を戒めている。






















