コラム記事一覧へ

2019年1月 3日

中宮伸二郎社労士の「労務の心得」1・年次有給休暇時季指定義務

Q 2019年4月1日から始まる年次有給休暇(年休)を5日取得してもらわなければならない制度は、どのように対応すればよいでしょうか。

nakamiya03.png 改正労働基準法により年休取得の方法が従来の2種類から3種類になります。
  ① 労働者が取得時季を指定する(自発的に年休を取得)
  ② 計画的付与の労使協定により取得時季を指定する
  ③ 会社が取得時季を指定する(今回の改正)
 会社は、年休付与日数10日以上の労働者に①~③いずれかの方法で年5日の有給休暇を取得させなければなりません。事業者の平均取得率ではなく、個々の労働者に5日以上取得させる必要があります。

 また、年休の取得状況を管理するために管理簿の作成が義務付けられています。管理簿の記載事項は、①年休の取得日 ②日数 ③基準日の3つです。既にこれらの項目が社内で管理されているのであれば、その資料を管理簿とすることで差し支えありません。

例1 全員が5日以上取得している実績がある場合
 自発的に5日以上取得しているのであれば、会社が時季指定をする必要はありません。
 職場習慣として5日以上取得しているのであれば、法改正対応は必要ありません。念のため年間5日以上取得しなければならない旨を周知し、これまで通り各自に任せて取得してもらってください。

例2 全員5日未満の場合
 派遣先の事情により取得しづらい派遣社員については、計画的付与や会社の時季指定により、取得させてください。四半期ごとに取得状況を確認し、状況に応じて取得を促す方法や各人別に年5回の取得月を定めて取得を促すことが考えられます。また、派遣先別に年間カレンダーを作成し、あらかじめ取得日を定める方法も有効です。
 11カ月間ほったらかしにして最後の月に慌てて5連休を与えて派遣先を混乱させることがないよう管理してください。

 会社が指定したにもかかわらず本人が取得を拒否した場合であっても法違反の責任は会社にあります。年休5日は休憩と同じと考えてください。6時間を超えて勤務する場合、45分以上の休憩を本人が拒否することはできないことと同様に会社が時季指定した日は年休を取得してもらわなければなりません。

(中宮 伸二郎/社会保険労務士法人ユアサイド 代表社員)

PAGETOP