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2019年1月10日

中宮伸二郎社労士の「労務の心得」2・労働条件明示の電子化

Q 労働基準法で規定する労働条件明示を電子メール等により交付することが認められましたが、「等」とはどの範囲まで含まれるのでしょうか。また、労働者派遣法の就業条件明示に変更はないのでしょうか。

nakamiya03.png 電子メール等には、SNSのメッセージ機能等を利用した電気通信も含まれます。FacebookやLINEを利用して明示することも可能です。電子メール等の記録を出力することにより書面を作成することができる者に限るという条件が付されていますが、PCやスマートフォンの画面に表示される情報は送信者が禁止しない限り出力可能と思われるため、特に注意を払う必要はないと思われます。

 労働者派遣法の就業条件明示も労働基準法と同じく2019年4月1日から明示方法が電子メール等に改正されます。労働基準法の労働条件明示が従来書面交付以外の方法を認めなかったことに対し派遣法の就業条件明示は、以前から労働者が希望する場合はファクシミリ、電子メールの利用を認めてきましたが、SNSのメッセージ機能などは認めていなかったところ電子メール等に改正することにより労働条件明示同様の改正となります。

 多くの派遣元で労働条件明示書、就業条件明示書に派遣社員の署名をいただき回収する業務に多くの手間をかけてきましたが、これらの業務を電子化することで大幅な効率化が見込まれます。

 ただし、労働者が希望する場合に限られるため事前に電子メール等での明示を希望するか否か確認を取る必要があります。労働基準法、労働者派遣法どちらも希望聴取の方法は規定していないため、派遣元ごとに希望聴取の方法を定めることができます。もちろん、希望しない場合は従来どおり書面で交付しなければなりません。

 また、当初電子メール等での明示を希望していた者が、書面での交付を希望した場合も速やかに対応してください。高齢のため電子機器の操作に不慣れな方もいることから、決して「会社のルールだから」という理由で電子メール等の利用を強制しないよう注意してください。

(中宮 伸二郎/社会保険労務士法人ユアサイド 代表社員)

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