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2019年9月 5日

中宮伸二郎社労士の「労務の心得」36・労使協定方式 職種の分類

Q 局長通達で示された賃金構造基本統計調査の職種に派遣社員の従事する職種が当てはまらない場合、どのように対処すればよいでしょうか。

nakamiya03.png 職業安定業務統計の職種から探してください。職業安定業務統計の職種は、ほとんどの職種を網羅しているため、恐らく該当する職種が見つかると思われます。一般賃金との比較の際に賃金構造基本統計調査と職業安定統計の両方を使用することは差し支えありませんが、賃金が安くなる方を選択することは認められておりません。また、両方を使った場合は、労使協定にその理由を記載しなければなりません。もちろん、「賃金が安くなる」という理由は認められません。

 職種を分類する際に問題になることとして、〇〇の補助業務があります。例えばバイオテクノロジー研究の補助業務の場合、「研究者」という分類がありますが、従事する派遣社員にバイオテクノロジーに関する知識、経験がなく、「研究者」に分類するには無理があるということがあります。

 そのような場合は、所属部署ではなく中核的業務に着目してください。中核的業務とは、ある労働者に与えられた職務に伴う個々の業務のうち、当該職務を代表する中核的なものを指し、「与えられた職務に本質的又は不可欠な要素である業務」、「その成果が事業に対して大きな影響を与える業務」及び「労働者本人の職務全体に占める時間的割合・頻度が大きい業務」の基準に従って総合的に判断されるものとされています。

 研究者の補助として、主にデータ入力に従事しているのであれば、「データ入力係員」に分類することが適切かもしれません。また、2つの職種にまたがる場合も中核的業務による判断ができると思います。なお、職業安定業務統計の職種の詳細は、ハローワークインターネットサービスで確認することができます。

ハローワークインターネットサービス



(中宮 伸二郎/社会保険労務士法人ユアサイド 代表社員)

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