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2019年11月19日

【ブック&コラム】『人材争奪』

タレント獲得競争をどう戦う?

c1911_2.jpg著者・平本 宏幸
日本経済新聞出版社、定価1500円+税


 HR分野に造詣の深いコンサルタントの著者は、GAFAに象徴されるグローバル先進企業の動向を追いながら、日本企業の人事を問うスケールの大きな考察を本書にまとめている。

 集団一括採用の後にハイパフォーマーの選別を進めていくようなやり方では変化対応に間に合わず、世界では事業戦略に必要な卓越したタレントをあの手この手で獲得していく競争が始まっていると、産業構造の変化から説き起こしている。その過程では高付加価値人材を獲得するコストは惜しまないが、その他の欠員補充ならいつでも市場価格で調達できると割り切るドライな側面も描き出す。ただ、圧倒的な創造性をもたらす個人が必ずしも高額報酬で惹きつけられるわけでもない最近の傾向にも着目。世界市場を席巻するグローバル企業も、エンゲージメントのポイントが内発的動機にあると気づき始めたと分析している。

 改めて日本企業には、世界最先端のスタイルをそのまま真似る必要はないとしつつ、「専門性・創造性・多様性」の3つの軸を手がかりとする人事政策の再考を促している。

(久島豊樹/HRM Magazine より)

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