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2020年2月 6日

小岩広宣社労士の「人材サービスと労務の視点」6・令和2年1月14日公表版の労使協定(イメージ)②

Q 労使協定方式の「職業分類」については、どのような点に注意して参考にしたらよいでしょうか。

koiwa1.png 労使協定のイメージ(令和2年1月14日公表版)では、「賃金の決定方法」(第3条)について、職種ごとにいわゆる「一般賃金」の統計や職業分類を使い分ける例が示されました。例えば、「職種ごとに通達別添1と別添2を使い分ける場合の記載例」では、プログラマーは別添1(賃金構造基本統計調査)、事務販売員は別添2(職業安定業務統計)を適用する例となっています。

 賃金構造基本統計調査と職業安定業務統計の選択については、「派遣労働者の業務がこれらの政府統計のいずれの職種と一致するのか、近いのかについて、労使で十分に議論し、比較対象とする職種を決定することが求められる」(労使協定方式に関するQ&A第1集、問2-6)とされていますが、具体的に使い分ける例が示された形です。

 また、「通達別添2を用いる場合であって、職業分類を使い分ける場合の記載例」では、中分類と小分類を使い分ける例が示されています。

 局長通達には、「一つの労使協定において、職種ごとに別添1及び別添2を使い分ける場合には、その理由を労使協定に記載すること。また、一つの労使協定において、別添2の職種を選択する場合であって職業分類を使い分けるとき、具体的には、「『大分類』と『当該大分類内の中分類又は小分類』」 又は「『中分類』と『当該中分類内の小分類』を使い分ける場合には、その理由を労使協定に記載すること」とあります。

 今回の労使協定(イメージ)で示された、小分類について「業務の実態を踏まえ最も適合する職種がある小分類を使用する」、中分類について「業務の実態から複数の業務に従事する可能性があることから中分類を使用する」という切り分けは、具体的な記載例として参考にできるでしょう。

 当然のことながら待遇を引き下げることを目的に分類を変更することは許されませんので、とりわけ労使協定発効時の職業分類の適用は慎重を期したいものです。


(小岩 広宣/社会保険労務士法人ナデック 代表社員)

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