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2020年4月 9日

小岩広宣社労士の「人材サービスと労務の視点」15・新型コロナウイルスと雇用調整助成金

Q 新型コロナウイルス感染症の影響により雇用調整助成金の要件が変更されたと聞きましたが、具体的にはどのような内容ですか。

koiwa.png 雇用調整助成金は、経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、労働者に対して一時的に休業、教育訓練または出向を行い、労働者の雇用を維持した場合に、休業手当、賃金等の一部を助成するものです。新型コロナウイルス感染症の影響により事業活動が急激に縮小する事業所が発生していることから、すでに新型コロナウイルス感染症への対応として一部の支給要件の緩和が行われていましたが、さらに以下の特例措置が講じられることになりました。

【特例措置の内容】
①緊急対応期間
4月1日~6月30日
②対象となる事業主
新型コロナウイルス感染症の影響を受ける事業主(全業種)
③生産指標要件
1か月5%以上低下
④対象者
雇用保険被保険者でない労働者の休業も含む
⑤助成率
中小企業4/5、大企業2/3
(*解雇等を行わない場合は中小企業9/10、大企業3/4)
⑥計画届
事後提出を認める(1月24日~6月30日)
⑦クーリング期間
撤廃
⑧被保険者期間
撤廃
⑨支給限度日数
1年100日、3年150日+上記対象期間

 ④については、通常は新規学卒や中途採用者など雇用保険の被保険者として継続して雇用されている期間が6か月未満の労働者を休業させた分は対象外でしたが、今回の特例では雇用保険被保険者でない労働者を休業させた分も対象となります。

 ⑦については、通常は過去に受給したことがある事業主は前回の支給対象期間の満了日から1年を経過していない場合は対象外でしたが、今回の特例では前回の支給対象期間の満了日から1年を経過していなくても対象となり、過去の受給日数にかかわらず支給限度日数までの受給が可能となります。

 新型コロナウイルス感染症の影響で取引先からの受注量が減少して事業活動が縮小した場合はもちろん、小学校の休校により大半の労働者が長期休暇を取得することで、生産体制の維持等が困難となり営業を中止した場合なども該当するため、必要に応じて活用したいものです。

(小岩 広宣/社会保険労務士法人ナデック 代表社員)

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