コラム記事一覧へ

2020年11月26日

小岩広宣社労士の「人材サービスと労務の視点」48・令和3年度の一般賃金③

Q 労使協定における過半数代表者の選出方法について、Q&Aやリーフレットが公表されていると聞きました。具体的にはどのような内容ですか。

koiwa.png 労使協定方式における過半数代表者の選出方法については、局長通達と同時に公開された「労使協定方式に関するQ&A【第3集】」やリーフレット(「派遣労働の『同一労働同一賃金』 過半数代表者の適切な選出手続きを」)でもあらためて注意喚起が促されています。Q&A第3集の問1-9では、過半数代表者選出の信任投票のあり方について、以下のように記載されています。

問1-9 労使協定を締結する過半数代表者の選出の手続きにおいて、ある労働者を過半数代表者として選出することに信任(賛成)するか否かについて、派遣元事業主(所)が全労働者に確認することとなった。その確認方法として、派遣労働者を含む全ての労働者に対してメールで通知し、メールに対する返信のない者を、メールの内容について信任(賛成)したものとみなす取り扱いは認められるか。
 また、同様の場合に、返信がない場合は信任(賛成)したものとみなす旨をメールに記載している場合は認められるか。

答 過半数代表者の選出には、労働者の過半数が選任を支持していることが明確になるような民主的な手続を経ることが必要である。最終的には個別の事例ごとに判断されるものであるが、一般的には、お尋ねのような取扱いは、労働者の過半数が選任を支持していることが必ずしも明確にならないものと考えられる。例えば、返信がなかった労働者について、電話や訪問等により、直接意見を確認する等の措置を講じるべきである。
 なお、イントラネット等を用いて、労働者の意思の確認を行う場合も同様である。

 登録型派遣では信任投票を実施するケースも少なくありませんが、メールなどに返信のない人を信任(賛成)者としてカウントするようなり取扱いは不適切だという見解が示されています。イントラネットなどの社内システムを利用している場合も同様であるため、信任投票であっても賛否の意思を示す仕組みの整備が不可欠となると考えられます。

 またリーフレットでは、①過半数代表者となることができる労働者の要件、②過半数代表者を選出するための正しい手続き、③メールなどで労働者の意向を確認する場合の意思確認、④派遣労働者の意思の反映をすることが望ましい、⑤過半数代表者が事務を円滑に遂行できるよう配慮することが必要――の5つのポイントが記載されています。いずれも基本的な事項となりますので、選出手続きにあたっては十分に注意したいものです。

リーフレット(「派遣労働者の「同一労働同一賃金」 過半数代表者の適切な選出手続きを」)


(小岩 広宣/社会保険労務士法人ナデック 代表社員)

PAGETOP