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2020年12月10日

小岩広宣社労士の「人材サービスと労務の視点」50・令和3年度の一般賃金⑤

Q 労使協定における例外的取り扱いは、令和3年度を待たずに適用できると聞きましたが、具体的にはどのような取り扱いとなっていますか。

koiwa1.png 令和3年度の局長通達(同種の業務に従事する一般労働者の賃金水準(令和3年度適用)は、令和3年度(令和3年4月1日から令和4年3月31日まで)を対象としていますが、通達に「一般賃金の額について、適用日より前に適用することを妨げるものではない」とされているように、令和3年度を待たずに前倒しで適用することもできます。通達では「適用日等」について、以下のように記載されています。

 本通知については、令和3年4月1日から令和4年3月31日まで適用することとする。
 なお、本通知で定める一般賃金の額について、適用日より前に適用することを妨げるものではない。ただし、本通知で定める一般賃金の額を適用日より前に適用することにより、協定対象派遣労働者の賃金を引き下げる場合は、労働条件の不利益変更となり得るものであることに留意すること。
 また、協定対象派遣労働者の賃金を引き下げることを目的に、一部の職種のみ本通知で定める一般賃金の額を適用日より前に適用する場合等は、労使協定方式の趣旨に照らして適切ではなく、認められないことに留意すること。

 「一般賃金の額を適用日より前に適用することにより、協定対象派遣労働者の賃金を引き下げる場合は、労働条件の不利益変更となり得る」ものであり、「協定対象派遣労働者の賃金を引き下げることを目的に、一部の職種のみ本通知で定める一般賃金の額を適用日より前に適用する場合等は、労使協定方式の趣旨に照らして適切ではなく、認められない」とされている点には十分に留意しなければなりません。

 労使協定の有効期間は2年以内が望ましいとされていますが、実際には一般賃金の適用期間に合わせて1年間としている場合が多いと思います。労使協定の有効期間中に新たな労使協定を締結する場合は、労使の合意が必要なことはもちろん相応の合理的な理由が必要だと考えられるでしょう。例外的取り扱いの目的は派遣労働者の雇用維持・確保を図ることにありますので、その趣旨を十分に意識した円満な労使協議に努めていきたいものです。


(小岩 広宣/社会保険労務士法人ナデック 代表社員)

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