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2021年1月26日

【ブック&コラム】『さよならオフィス』

テレワークならオフィスは不要か?

c2012_3.jpg著者・島津 翔
日経BP、定価900円+税


 新型コロナを契機とするオフィス解約ラッシュの動向を取材し、経営者たちの生の声を拾いながら、オフィスの存在意義を問う1冊。

 登記場所以外にオフィスはいらない(全員在宅勤務)と決断した会社もあれば、週1回の「オフィスデー」で顔合わせができればいいと面積縮小に動いた会社、ベストな姿を模索しつつ、集中すべきはオフィス問題ではなく事業そのものだったと原点回帰し、解約を撤回した会社など、事情は様々で興味深い。究極のスタイルではVRゴーグル着用による仮想オフィスや旅をしながらリモートワークを続ける個人も登場する。

 大手企業が打ち出した「面積半減」「半分在宅」の方針を手がかりに、ジョブ型雇用の可能性にも触れ、働き方の自由と責任の関係を再考。最終章では改めて「オフィスは必要か」との命題を掲げ、感染対策面での「安全」と働き方の「自由」に加え、セレンディピティ(偶察力)=予想外の発見ができる場、同時性コミュニケーションの場(空気共有)の効果も認められるのではないかと、考察を深めている。


(久島豊樹/HRM Magazine より)

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