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2021年7月20日

【ブック&コラム】『できる上司は会話が9割』

良好な組織を築くコーチングのコツを伝授

c210500.jpg著者・林 健太郎
三笠書房、定価1650円(税込)


 日頃はエグゼクティブコーチとして活躍する「リーダー育成家」の著者が、部下対応に悩める上司たちのためにノウハウを整理したコミュニケーションマニュアルだ。「部下が育たない」「部下に伝わらない」「チームがまとまらない」「板挟みで動けない」の計4章・32のミニケースを手がかりに、適切な対処法をアドバイスしてくれる。

 ただ、いずれもベースはコーチングであり、直接的な指示・指導・正解・解決は目指していない。すなわち、相手の言い分を復唱し、感情を受け止め、発言の背後にある真のニーズを探り、本人が自ら考えるよう導く話法に特徴がある。自分に対してネガティブな反応を示す部下との関係修復、メンバー同士がこじれているときの仲介・調停なども、具体的なセリフを載せ、全体にかんで含めるような優しい表現で語られているので理解は容易だが、実践の難度は相当に高く、場数を踏む覚悟は求められそうだ。

 新しい部署の上司に着任したら、未経験の分野で組織を任されたら、そんなときにも、まずは本書の一読をお勧めしたい。

(久島豊樹/HRM Magazine より)

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