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2021年7月13日

【ブック&コラム】ワクチン情報の奇怪

 この10日に新型コロナの2回目のワクチン接種を済ませた。翌日は注射をした腕が痛かったが、2日目になるとそれも消え、接種後の体温はほとんど上がらず、拍子抜けした。接種前と接種後の違いが体感的にはわからず、「これで本当に予防になるのだろうか」と心配になるほどだ。家族には「感染してみればわかる」と言われたが、それは真っ平ごめん。

c210713.jpg ワクチンに対する受け止め方は、高齢者と若者の間では大きな違いが見受けられる。私を含む高齢者は争って接種の予約に殺到したが、多くの若者たちは副反応などへの不安が強く、接種を迷っている人も少なくないという。そんな雰囲気を察してか、「ワクチン特集」を組むテレビ局も多い。

 できたてのワクチンだから、いつまで効果が持続するのかなど、まだわからないことが多いのは確かだ。それを反映しているのだろう。インターネットの掲示板には、ワクチンをめぐる諸説が百花繚乱状態。中には、「不妊になる」「遺伝子構造が変わってしまう」といった根拠のない怪情報も飛び交っている。

 ごく単純に考えてみたい。厚生労働省のホームページに出ている数字では、これまでの累計感染者数は約82万人で、死者は1万5000人。これに対して、ワクチンの1次接種者(あえて2次接種者は含まない)は3760万人で、因果関係不明も含む死者は約550人。それぞれの確率を弾き出すと1.83%と0.0015%。どちらのリスクが高いか子供でもわかる数字だが、どちらも高齢者が多いので、若者の受ける感覚は違うのだろう。要は、薬やワクチンに「100%安全」はないということだ。それを踏まえて、正体不明のネット情報は無視して判断するに限る。(本)

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