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2022年2月22日

【ブック&コラム】『「働かないおじさん問題」のトリセツ』

パフォーマンス改善の覚悟を迫る

c2111000.jpg著者・難波 猛
アスコム、定価1650円(税込)


 本書の「働かないおじさん」とは"新聞を広げてお茶をすすり、喫煙場所でサボってばかり"というコミカルな次元ではない。本人は真面目なのに会社の期待とミスマッチを起こしている、いわゆるローパフォーマーの問題を扱っている。

 パフォーマンス改善コンサルタントの著者は、創意工夫・自主性・学習習慣の欠如、立場・役割の理解不足、過去の成功体験ゆえの呪縛など、症状別の分類整理を試みたうえで、要因は複合的であり、本人・上司・人事の3者で向き合うしかないと覚悟を迫る。そのうえで、方策の選択肢は、一定期間を経て、期待通りに改善されるか、会社の期待値を下げる(処遇を下げる)か、関係を解消する(合意退職・再就職支援)かの3つだと割り切る。具体的な対策ではWILL・MUST・CANのズレの認識と、ネガティブフィードバックを含む面談が柱となる。

 「ベテランなので言わなくても......」はNGで、苦手な感情が伴っても心理学的アプローチに則って働きかけを進めるしかないと、企業事例も紹介しながら本気の取り組みを解説している。


(久島豊樹/HRM Magazine より)

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