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2022年8月23日

【ブック&コラム】自由研究

 学校の夏休みも終盤に来たせいか、テレビなどで「自由研究」の特集が盛んに流れている。ユニーク研究の「好事例集」、親も巻き込んだ奮闘記、それらを当て込んだ「請負業者」の隆盛ぶりなど、それはそれで結構楽しめるが、ネットをのぞくと百花繚乱状態だ。そんなのまで商売になるのかなあと、かつての少年は違和感を覚えてしまう。

c220823.png 私は田舎で育ったから、自由研究は昆虫採集と決まっていた。日ごろから虫と一緒に暮らしていたようなものだから、気の利いたテーマを考えるでもなく、それ以外の発想はなかった。標本はすぐに集まったが、毎年同じ虫では芸がない。かつての少年は考えた末、同じ虫でも形の少し違うクワガタムシや色の違うチョウチョを捕まえて、バリエーションを付けた。しかし、そんな"努力"が評価されず、親や先生に「今年も昆虫か」と言われた悔しさは今も忘れない。

 そんなことを思い出しながら近所の公園を散歩していたら、少年たちの歓声が聞こえた。昆虫網を持って、バッタ、チョウ、セミを捕まえている光景を目にして、かつての少年は懐かしさで思わず目頭が熱くなった。自由研究の"原点"は滅び去っていなかったのだ!

 しかし、やはり都会の公園では採集にも限界があるようで、「これだけじゃ、数が足りないよな」「形も小さいしなあ」と言い合っている。君たち、ここが踏ん張りどころだよ。ネットに氾濫するお膳立ての立派な自由研究より、自分の足でぜひ完遂してほしい。そうつぶやきながら、かつての少年は夏の終わりを実感したのです。(俊)

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