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2022年9月22日

小岩広宣社労士の「人材サービスと労務の視点」141・改正職業安定法について②

Q 改正職業安定法によって「特定募集情報等提供事業者」に新たに届出が義務付けられるといいますが、そもそも「特定募集情報等提供事業者」とはどのような事業者のことを指しますか。

koiwa1.png 「募集情報等提供事業者」とは耳慣れない言葉ですが、以前から職業安定法で用いられている用語であり、主に求人メディアや求人情報誌などを扱う事業者のことを指します。今回の改正でこの範囲が広がり、インターネット上で収集した求人・求職者情報を提供するサービスや、他の求人メディアなどから情報の提供を受けたり、提供するサービスも含まれることになりました。

 「募集情報等提供事業者」の中で、「労働者になろうとする者に関する情報を収集する募集情報等提供事業者」のことを「特定募集情報等提供事業者」といいます。今回の改正で、「特定募集情報等提供事業者」には、届出が義務付けられることになりました。

 具体的には、紙媒体でのみ情報提供している場合は「特定募集情報等提供事業者」には該当しませんが、会員登録を求めたり、メールアドレスを集めて配信したり、閲覧履歴に基づく情報提供をしている場合は「特定募集情報等提供事業者」に該当するため、新たに届出が必要となります。「特定募集情報等提供事業者」には1号から4号の類型がありますが、以下のフローに従って判断していくことになります。

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 このフローに従って、1号~4号の特定募集情報等提供事業者に該当する場合は、「特定募集情報等提供事業者届出書」(様式8号の3)の届出が必要となります。例えば、求人企業からの依頼を受け、求職者の情報を収集して情報提供に使用している場合は、1号事業者として届出が必要となりますが、求職者情報を収集していなかったり、情報提供に使用していない場合は、届出は必要ありません。

 4つの類型の整理は、法令上の要件を正確に理解した上で、事業活動の実態によって判断することになるため、経験豊富な実務家でも判断が難しいケースがあるかもしれません。まずは自社の事業の実態を正確に把握することから始めて、10月の法改正に向けて確実な準備を進めていきたいものです。

(小岩 広宣/社会保険労務士法人ナデック 代表社員)

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