コラム記事一覧へ

2022年10月 6日

小岩広宣社労士の「人材サービスと労務の視点」143・改正職業安定法について④

Q 改正職業安定法の求人等に関する情報についての「的確な表示義務」について、簡単に教えてください。

koiwa1.png 10月1日施行の改正職業安定法によって、すべての雇用仲介事業者に対して、以下の①~⑤の情報すべての的確な表示が義務付けられます。この場合の事業者とは、職業紹介事業者、募集情報提供等事業者のほか、求人等の情報を扱うあらゆる事業者が含まれます。すべての雇用仲介事業者が対象となっている点では、今回の改正の中でももっとも実務的なインパクトが大きい内容だといえるでしょう。

①求人情報
②求職者情報
③求人企業に関する情報
④自社に関する情報
⑤事業の実績に関する情報


 具体的には、虚偽の表示や誤解を生じさせる表示をしてはならず、求人・求職者情報を正確・最新のものに保つ措置を講じなければなりません。この範囲は、紙媒体、ネット媒体の求人広告はもちろん、ウェブサイト、電子メール、メッセージアプリ、オンデマンドなどのすべてが対象となります。

表示

 上記のリーフレットの例のように、営業職中心の業務を「事務職」と記載したり、固定残業代を採用しているのに基本給に含めて記載したり、求人企業とグループ企業を混同して記載したりするのは、いずれも不適切ということになります。

 モデル賃金については、社内で特に給与が高い労働者の給与をすべての労働者の給与であるかのように例示するのは、不適切となりますので改善する必要があります。固定残業代についても、基本給と固定残業代を総額で表示するような方法はもちろん認められません。

 職業紹介事業者や募集情報提供等事業者にかぎらず、個別の事案によっては行政から是正指導などが行なわれ、悪質なケースは行政処分が行われる可能性もありますので、十分な準備と対応をしていきたいものです。

(小岩 広宣/社会保険労務士法人ナデック 代表社員)

PAGETOP