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2022年11月 8日

【ブック&コラム】『どうすれば日本人の賃金は上がるのか』

産業構造の改革しか手はない

c2210_2.jpg著者・野口 悠紀雄
日経BP、定価900円(税込)


 冒頭、著者は「給料について個人の裁量で変わる余地はほとんどない」と語り、所得を増やすには、社会の仕組み、とりわけ産業構造の変革に踏み込むしかないとの持論を展開している。実際、直近の為替レートで再計算すると日本人の給料はイタリアにも劣り、G7中最低を記録。米国との差は開き、韓国にも抜かれ、"ビッグマック指数"では中国より安い国になったとはじき出す。

 この20年の低落ぶりは、産業構造改革という手術を避け、円安という麻薬でやり過ごしてきた政策のツケが表面化した結果だと批判的にみる。さらに、国内事情では、業種別・企業規模別・雇用形態別・年齢別・性別等で格差の実態を分析し、なおも古い産業を守り雇用維持を優先するつもりなのかと問う。

 単純化すると賃金を上げるには「稼ぐ力=付加価値=粗利益」を向上させるしかなく、「生産性を高める」ためには、新しい技術とビジネスモデルを生み出す必要があると明確な結論を導いている。「成長なくして分配なし」という強い覚悟を持てるかどうか、そこが問題だ。

(久島豊樹/HRM Magazine より)

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