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2022年12月27日

【ブック&コラム】増え続ける「虐待」

 どうにも憂鬱(ゆううつ)になる。厚生労働省の発表によると、介護施設における入居者に対する職員らの虐待が21年度は739件の過去最高になった。しかも、この10年で5倍近くに増えているといい、老親を施設に預けている私も心穏やかではいられない。面会に行くと、いつもニコニコ迎えてくれる職員さんの心配りとのギャップが埋められない。

c221227.png 高齢者に限らない。障害者施設での虐待も毎年増え続け、20年度は632件あった。最近では保育園などにおける幼児の虐待もニュースになり、静岡県の保育園では職員OBが逮捕されるに至った。本来なら、警察が乗り出すような内容ではないはずだが、刑事事件にまで発展したのが何とも痛ましい。

 虐待がいいことではないことぐらい、誰でも知っている。にもかかわらず、立場の弱い高齢者、障害者、幼児らへの虐待が増えている事実をどう考えればいいのか。人手が足りない、コロナの長期化で閉塞感が強まった、職場の人間関係が悪くて入所者がとばっちりを受けたなど、さまざまな原因が指摘されている。が、ではどうすればいいかとなると、解決策はすぐには見つからない。

 虐待する側を批判すると、「文句があるなら、自分で世話をしたらどうか」との反論が必ず出てくるし、それのできない家族らは一種の「負い目」を感じているだけに、痛いところを突かれた気になる。職員の使命感や厚意にひたすらすがるだけ、というのも違うだろう。ただ、ほとんどの被害者は虐待に抵抗できない、弱い立場にあることだけは間違いない。虐待をなくすために自分は何ができるか、じっくり考えてみたい。年末に重い話で申し訳ありません。良いお年を。(間)

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