ふつうの会社員が生き延びるヒント
著者・藤井 薫
中央公論新社、定価1034円(税込)
長年勤めてきたからという累積貢献度は薄れ、現時点での実力で評価されるジョブ型人事につき「ふつうの会社員」を基準にインパクトを考察していく1冊。随所に主要企業の人事担当者の生の声を紹介しながら、日本企業がジョブ型にシフトしていく目的を、①人件費管理の合理性、②タレントマネジメントの2点に分けて解き明かしていく。
ただ、日本では職種別賃金は浸透せず、依然「どの企業に属しているか」が賃金格差を決定づける実態だとも見抜き、"日本型"ともいうべき幅のある特徴を見出している。指摘されてみれば、無期雇用・正社員・総合職の場合、教科書通りのジョブ型にはならないと合点がいく。一方で、同じ仕事を続ける限り給料は上がらない仕組みであり、管理職の場合は任期を設け「よりベターな人材に置き換えていく」と公言する会社もあることから、「給料の高いおじさん・おばさんはいなくなっていく」と予想。
天才でも業界第一人者でもないふつうの会社員が目指す道は何かと問い、キャリアのヒントをガイドしている。
(久島豊樹/HRM Magazine より)