無駄にがんばらない合理的な働き方
著者・海老原 嗣生
PHP研究所、定価1210円(税込)
仕事に積極的な意義を求めず、最低限の業務をこなすだけの「静かな退職」は、実は世界標準の働き方であり、日本の企業が従業員に求めがちな協調性や積極性には、無償奉仕を強いる危うさがあると著者は語る。
「静かな退職」状態は、無駄や無理を排除したうえで最大限のパフォーマンスを挙げる働き方だと肯定的に捉え、働く本人には、組織のお荷物にならずに人材価値を維持し、かつ定時で切り上げ残業代相当額を上回る副業収入を得て生き伸びるキャリアスタイルを提案する。また、会社・上司にとっても、人件費の増加を回避でき一定の成果は挙げてくれる人材はありがたい存在であり、人事の仕組みに「静かな退職コース」を組み込んではどうかと誘う。
さらに家事・育児・介護を視界に入れると「静かな退職」はマイナスではなく、当たり前に市民権を得ていく働き方になるだろうと予測し、「忙しい毎日をもっとがんばる」ための支援ではなく、「無駄にがんばらないほうが生産性は上がる」という前提で労働政策の大転換が必要だと指摘している。
(久島豊樹/HRM Magazine より)