働く高齢者の増加に伴い、高齢者の労災事故も急増している。若者層に比べると、高齢者の身体能力が衰えるのは当然だが、仕事の無理が祟って「持病」が悪化するケースも少なくない。今年4月から労働安全衛生法が改正され、高齢者の労災防止を企業の努力義務としたが、効果が出るのはこれから。慢性的な人手不足を補う労働力として高齢者の存在は無視できない以上、受け入れ態勢の整備を急ぐ必要がありそうだ。(報道局)
厚生労働省の労働災害発生状況(確定値)によると、2025年の全体の死者数は700人(前年比46人、6.2%減)の過去最少となった。17年の978人から8年連続の減少。また、休業4日以上の死傷者数も13万5333人(同385人、0.3%減)と5年ぶりに減少した。死者は一貫して減り続け、死傷者は"低位安定"が続いている。
そうした流れにある中で、高齢者の労災は年々増加の一途をたどっている。25年の場合、60歳以上の死者は299人で実に全体の42.7%、死傷者も4万2318人で全体の31.3%を占め、どちらも過去最高となった=グラフ。業種ではトラック運送業、警備業、ビルメンテナンス業、土木工事業、鉄鋼・鉄筋コンクリート家屋建築業など、危険の伴う仕事に集中している。
働く高齢者は年々増え、24年時点では約1171万人と全雇用者の19.1%を占めた。20年前の04年当時の約526万人から20年で2.2倍に増えたことになる。25年4月、改正高年齢者雇用安定法によって、企業の雇用確保措置が65歳に延長され、さらに70歳まで延長する努力義務が生じたことが背景にある。労災の増加も、雇用者数の増加に比例する形で増え続けている。
問題は、若年層に比べると高齢者は労災リスクの可能性が高いこと。例えば、度数率(死傷者数を延べ労働時間で割った数値)でみると、60歳以上は2.41で、男性が2.10、女性が2.95と女性の比率が高く、30代に比べると男性は2倍、女性は5倍の高さに達している。
これを事故の型別にみても、男女とも墜落・転落、転倒による骨折などで多発しており、男性の場合、墜落・転落の度数率は0.48で20代の3.6倍、女性の場合、転倒による骨折などは1.70でやはり20代の19.5倍にもなっている。
高齢者対策、4月から企業の努力義務に
このため、厚労省は労働安全衛生法を改正して高齢者対策を努力義務とする指針を公表、今年4月から施行した。60歳以上の社員に定期健診、体力測定などを実施し、必要な場合は身体的負担の少ない業務への配置転換、作業方法の変更または時短、照明・手すりなど作業環境の改善といった措置を講じるよう求めている。
ただ、高齢者の場合は慢性的な持病や身体ハンディを持つ人も多く...
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