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2026年6月 2日

人材派遣大手5社、「派遣料金」で独禁法違反の疑い 公取委が立ち入り検査

 人材派遣会社が派遣先企業から受け取る「派遣料金」を巡りカルテルを結んだ疑いがあるとして、公正取引委員会は2日、独禁法違反(不当な取引制限)の疑いで業界大手5社の本社などを立ち入り検査した。5社は少なくとも2022年ごろから、派遣先企業との料金交渉が始まる前に示し合わせ、派遣料金を引き上げる合意をしていたとみられる。公取委は、提出を受けた資料の分析や関係者への聞き取りを本格化させ、全容解明を進める方針だ。

 関係者によると、5社はパーソルテンプスタッフ、スタッフサービス、リクルートスタッフィング、アデコ、マンパワーグループ(本社はいずれも東京)。カルテルは、複数の企業が連絡を取り合い、各企業がそれぞれ決めるべき価格や生産数量などを共同で取り決める行為で、公取委は各社が利益確保のために派遣料金の価格競争を逃れてカルテルを結び、マージンの割合を増やしていた可能性があるとみている。また、カルテルは全国規模のほか、地域別や個別企業ごとに結ばれるケースもあった模様だ。

業界に衝撃、調査は数カ月の見通し

 5社に疑いが持たれているのは「一般事務」の派遣料金で、業界のリーディングカンパニーがそろうだけに、関係者の間に衝撃が走った。派遣社員の待遇改善、賃上げムードの流れに水を差す出来事に、今後の行方を不安視する声も聞かれた。5社はいずれも公取委の今後の調査に協力する見通しだ。

 公取委の立ち入り検査の端緒は、一般的に内部の関係者からの情報提供が少なくない。独禁法の調査には、行政処分を見据えたものと刑事告発を視野に入れた調査の2種類があり、今回は前者の模様。調べを進めた結果、最終的に違反が認定された場合、違反行為の取り止めや契約内容の見直し、再発防止策の実施などを命じる「排除措置命令」(行政処分)や、違反行為によって得た不当な利得相当額を国庫に納付させる「課徴金納付命令」が出される。命令に不服な場合は、審判を請求することができる。

 これらの一連の動きが終結するまでには、立ち入り検査があった6月2日の「調査開始日」から数カ月を要することになる。10月には同一労働同一賃金の更なる浸透を図る改正派遣元指針・派遣先指針の施行を控えており、賃金を含む派遣社員の待遇改善の機運がもう一段高まる流れにあった。今回、立ち入り検査を受けた5社は、派遣事業の健全化と派遣社員のキャリアアップなどを牽引してきた業界団体の要職を務めるだけに、今後の対応と姿勢が問われている。(労政ジャーナリスト・大野博司)

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