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2025年9月11日

小岩広宣社労士の「人材サービスと労務の視点」293・被扶養者認定における年間収入要件の変更

Q 今年の10月から社会保険の被扶養者認定における年間収入要件が一部変更されると聞きました。具体的にはどのように変更されるのですか。

koiwa24.png 令和7年度税制改正において19歳以上23歳未満の親族等を扶養する場合の特定扶養控除の要件が見直されたのを受けて、今年の10月1日から、19歳以上23歳未満の人(被保険者の配偶者を除く)が社会保険の扶養認定を受ける場合、現行の「年間収入130万円未満」の要件が、「年間収入150万円未満」に変更されることになります。具体的には、以下の内容となります。

対象者 19歳以上23歳未満(被保険者の配偶者を除く)
年間収入要件 「130万円未満」→「150万円未満」
適用開始 令和7年10月1日以降の認定日


 上記の「年間収入要件」以外の要件に変更はなく、上記の対象者以外については、従来通り「130万円未満」の基準が適用されます。また、60歳以上または障害者の場合は年間収入「180万円未満」であり、同居の場合は収入が扶養者(被保険者)の収入の半分未満、別居の場合は収入が扶養者(被保険者)からの仕送り額未満という要件も変わりません。

 「19歳以上23歳未満」がいつの時点かを判定する年齢要件については、扶養認定日が属する年の「12月31日時点」の年齢で判定することになります。したがって、令和7年12月1日に19歳の誕生日を迎える場合は、令和7年の年間収入要件は「150万円未満」となります。年齢については、民法の期間に関する規定が準用されるため、年齢は誕生日の前日に加算されることになります。

 「19歳以上23歳未満」という年齢は、おおむね大学生の期間と合致しますが、今回の変更は令和7年度税制改正の取り扱いと同様に、あくまでも年齢のみによって判断され、学生であることの要件は求められません。学生のアルバイトなどが社会保険の扶養の130万円の壁によって働き控えるケースが少なくなく、とりわけ年末の繁忙期に就業調整をされることによる問題も顕在化していますが、上記の変更によって該当年齢の年間収入要件が「150万円未満」に引き上げられることで、今後の扶養認定の実務にも大きな影響が出ることになります。

 多くの事業所にとっても経営上プラスに働く改正点となりますので、正確な改正情報に基づいて適切な実務対応を心掛けていきたいものです。

「19歳以上23歳未満の方の被扶養者認定における年間収入要件が変わります」


(小岩 広宣/社会保険労務士法人ナデック 代表社員)

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