美談でも悲劇でもない高齢者の働き方
著者・若月 澪子
朝日新聞出版、定価:本体957円(税込)
自身は氷河期世代だと語るジャーナリストが、60代から70代の働くシニア21人に取材を試みたルポ。"美談でも悲劇でもなく"というスタンスで、働く理由、職場環境、仕事と生活の実態、人生観などを聞き出していく。
一般には定年後再雇用を選択するシニアが多いと推察されるが、本書では"訳アリ"の対象者が目を引く。家に引きこもる無職の子供を養うため働かざるをえない60代が複数登場。子供は独立しているが、教育ローンを返済しきれていない親が働き続けるケースもある。仕事の内容は、病院の清掃、スーパーの品出し、新聞配達などの肉体労働が大半で、通販会社の倉庫でスピードを競わされた厳しい体験を明かす人もいる。そして給料は、最低賃金スレスレが"標準"だった。
シニアの働き方は多様化し、「60歳定年でカットアウト」ではなく、「70歳までのフェードアウト」に変わってきたと著者は捉える。シニアの社会問題で括るのではなく、個々人が現役時代から向き合ってきた生き方のルポとして読んだほうが腹落ちする。
(久島豊樹/HRM Magazine より)






















