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2026年1月 8日

小岩広宣社労士の「人材サービスと労務の視点」309・2026年の労働法改正

Q 新たな年を迎えましたが、2026年も企業経営に影響の大きい労働法をめぐる改正が続く予定です。労基法改正をめぐる動向なども気になりますが、2026年の労働法や社会保険の関係の改正の大まかな流れについて簡単にお教えください。

koiwa24.png 新年明けましておめでとうございます。昨年に引き続きこのコラムを執筆させていただく、社労士の小岩です。早いもので7年目の執筆となりますが、小欄で新年のごあいさつをするたびに、時代の流れの速さと環境変化の加速を痛感します。いまや時事的な情報についてもAIがタイムリーに網羅するだけでなく、その解説や対応策にまで踏み込むことが期待される時代。法改正などのタイムリーな情報や多くの人が直面するであろう労務管理をめぐるテーマについて、筆者ならではの経験的な視点や現場の肌感覚を大切に、毎週のコラムをお伝えしていきたいと思います。引き続きよろしくお願いいたします。

 2026年は、労働法の大改正の年といわれています。前回のコラムで触れたように、労働基準法の改正については、ひとまず通常国会での上程は見送られましたが、すでに労働法や社会保障をめぐるさまざまな改正が予定されており、年内には改正の動きが固まるであろう労基法も含めて、企業実務への影響が大きい改正が相次ぐ年だといえます。以下に、現段階で確定している2026年の主な改正点を整理し、主な内容をピックアップします。

2026年1月~ ・業務上災害報告制度の創設(労働安全衛生法)
→個人事業者等自身が講ずべき措置(安全衛生教育の受講等)、業務上災害の報告制度など
・電子申請サービスの開始(協会けんぽ)
→傷病手当金、出産手当金、高額療養費など、ほぼすべてのオンライン申請が可能に
・手形払の禁止など(下請法、小受託取引適正化法)
→手形払の禁止、一方的な代金決定の禁止など
4月~ ・在職老齢年金基準額の引き上げ(厚生年金保険法)
→在職老齢年金の支給停止となる収入基準額を50万円から62万円に引き上げ
・健康保険の扶養判定取扱変更(健康保険法)
→労働条件通知書等の年間収入が130万円未満の場合は被扶養者として取り扱う
・子ども・子育て支援金制度のスタート(健康保険法)
→子ども・子育て支援金が加入する医療保険制度ごとに、4月分から拠出(控除)される
・雇用保険料料率の変更(雇用保険法)
→雇用保険料が1.45%から1.35%に変更
・男女賃金差異と女性管理職比の公表義務(女性活躍推進法)
→従業員数101人以上の企業について、男女間賃金差異、女性管理職比率の情報公表が義務化
7月~ ・障害者雇用の法定雇用率の引き上げ(障害者雇用促進法)
→障害者の法定雇用率が2.5%から2.7%に引き上げ
10月~ ・事業主にカスハラ対策の措置義務(労働施策総合推進法)
→カスハラや求職者等に対するセクハラ防止のため雇用管理上必要な措置が義務化
12月まで ・フリーランスへの拡大、解雇や懲戒に罰則(公益通報者保護法)
→正当な理由がなく公益通報をしない旨の合意の禁止、公益通報を理由とする業務委託契約の解除その他不利益な取り扱いの禁止


 2026年は、政治や経済の不透明感の中、加速する少子高齢化や人手不足などへの対応、障害者やフリーランスを含めた多様な人材への対応、AIのさらなる進化や行政手続きのオンライン化などへの対応が大きなテーマとなる一年になります。「年収の壁」や「カスハラ対策」などのキーワードに象徴されるように、本格的なダブルインカム社会の到来へとソフトランディングさせようとする流れ、いわゆるZ世代の個人主義的なカルチャーや価値観の多様化を前向きにとらえてダイバシティ経営へと舵を取ろうとする流れなどが交錯しつつ、リアルにこれからの時代を占う画期の一年になるかもしれません。まずは着実に日々の課題と向き合いながら、明るい未来に向けた方向性を見出す確かな一歩としたいものです。


(小岩 広宣/社会保険労務士法人ナデック 代表社員)

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