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2026年9月 3日

小岩広宣社労士の「人材サービスと労務の視点」342・令和9年度適用の一般賃金について

Q 令和9年度適用の一般賃金が公表されましたが、その内容とポイントについて教えてください。

koiwa24.png 8月28日、令和9年度に適用される「同種の業務に従事する一般労働者の賃金水準」(いわゆる「一般賃金」)を定めた局長通達が公表されました。職種別の一般賃金水準は、原則として、①職業安定業務統計(令和7年度におけるハローワーク求人データを基に算定)、②賃金構造基本統計調査(令和5・6・7年における統計値を基に算定)のいずれかの統計を活用した一般賃金水準を使用するものとされていますが、実務上は①職業安定業務統計の一般賃金水準を選択しているケースが多く見受けられます。以下に、今回の局長通達で示された内容について簡単に整理します。

 ①職業安定業務統計を活用した一般賃金水準、②賃金構造基本統計調査を活用した一般賃金水準ともに軒並み上昇しており、特に販売店員、介護職といった人手不足が深刻化している職種について平均よりも高い上昇値となっています。

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 「一般通勤手当」については、「67円」となり、過去にない大幅な上昇値となった前回(令和7年度:73円⇒令和8年度:79円)から一転して大幅な金額低下となりました。一般通勤手当を算出する際に用いる資料が変更になったことが理由の一つと考えられ、具体的には、令和8年度通達では、「平成25年企業の諸手当等の人事処遇制度に関する調査」(独立行政法人労働政策研究・研修機構)を用いて算出していたところ、令和9年度通達では「令和7年就業条件総合調査」(厚生労働省)を用いて算出する方法に変更になりました。

 今回の令和9年度通達により一般通勤手当が大幅に低下したことで、これを理由として、労使協定に定める協定対象派遣労働者の通勤手当の額を引き下げることとしてもよいかという問題が生じます。この点に関しては、厚生労働省よりすでにQ&Aが出ており、下記の回答がされています。

(回答)
  一般通勤手当の額が下がった場合であっても、見直し前の労使協定に定める通勤手当の額を基礎として、協定対象派遣労働者の公正な待遇の確保について労使で十分に協議した上で決定すること。
 また、労使で十分に協議を行ったとしても、実際に協定対象派遣労働者の通勤手当の額を引き下げる場合には、労働条件の不利益変更となり得るものであり、労働条件の不利益変更については、労働契約法第9条に基づき、原則として労使双方の合意が必要であることに留意する必要がある。
(「令和9年度一般賃金通達の見直しに関するQ&A」より)


 なお、協定対象派遣労働者に対して、通勤手当として派遣就業場所と居住地の通勤距離や通勤方法に応じた実費が支給されている場合には、一般通勤手当「67円」と同等以上であるものとされます。ただし、上限のある実費支給の場合で、通勤手当の額が実費に満たない協定対象派遣労働者がおり、その上限額を協定対象派遣労働者の平均的な所定内労働時間1時間あたりに換算した額が「67円」未満である場合には、その額を「67円」とする必要があります。

(例)週40時間労働の一般的正規社員
1か月の所定労働時間⇒(週40時間×365日÷7日)÷12か月=173.8時間
173.8時間×67円=11644.6円

 退職手当制度を設けている場合、退職手当制度がある企業の割合、受給に必要な所要年数、支給月数および支給金額を示した通達の別添資料の中から、いずれかを選択して自社の退職金制度と比較する必要があります。

 令和9年度通達では、「賃金事情等総合調査(中央労働委員会)」の調査が更新されているため、確認が必要です。また、「退職金・年金に関する実態調査結果(日本経済団体連合会)」の調査が削除された点にも注意しましょう。

(小岩 広宣/社会保険労務士法人ナデック 代表社員)

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