東京商工リサーチがこのほど公表した「失業なき労働力移動の行方~窮境状態にある業種と「人手不足倒産」発生率の相関~」によると、3期以上の経常赤字が続く「窮境業種」のうち、人手不足倒産発生率が高かったのは「学校教育」「社会保険・社会福祉・介護事業」「道路旅客運送業」などで、いずれも労働集約型の産業に集中した。
同社は、2016年度から2015年度までの企業倒産のうち、人手不足関連倒産5212件を分析。2026年3月期を起点に3期以上の経常赤字が続く企業を「窮境」と定義し、中小企業に絞って業種別の傾向を調べた。
最も窮境状態にあり、人手不足倒産も発生している業種は「学校教育」だった。赤字企業比率は18.08%で、人手不足倒産発生率は11.76%。少子化を背景に私立学校や自動車教習所などで収益確保が難しくなっていることが影響しているという。
上位10業種では、「飲食店」や「医療業」を含むサービス関連業種が半数を占めた。「飲食店」の赤字企業比率は13.10%、人手不足倒産発生率は4.44%。「医療業」はそれぞれ12.74%、8.12%だった。省人化投資を進める大手と、設備投資や人材確保に苦戦する中小との違いもみられる。
これに対し、「金融商品取引業・商品先物取引業」や「娯楽業」は赤字企業比率が高いものの、人手不足倒産発生率は相対的に低かった。両業種とも業界内の競争激化や市場構造の変化が業績悪化の背景にあり、労働集約型産業とは異なる課題を抱えている。
同社は、「賃上げや人材確保が難しい企業では『失業なき労働力移動』も選択肢になり得るが、業況と人員配置を一体で見直さなければ、業種間の差がさらに広がる可能性がある」と指摘している。






















