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2015年1月12日

連合の2015新年交歓会

思惑交錯、政労使の"多彩な顔ぶれ"

 1月5日に都内で開かれた連合の2015新年交歓会。年明けの恒例行事だが、今年は経団連会長や日本銀行総裁の初参加をはじめ、与野党の党首・代表クラスが勢ぞろいし、例年とは異なる様相を呈した。「労働時間法制の見直し」に関連する労働基準法改正案や労働者派遣法改正案などの年内成立を目指す政府・与党と、それらに対抗する構えの野党。また、政治勢力と相関関係にある労使の団体が、それぞれの狙いと思惑を交錯させた。例年にも増して「政労使」の動きから目が離せない1年となる2015年。“多彩な顔ぶれ”で幕を開けた新年交歓会であいさつに立った4氏の発言に注目してみる。(報道局)

is150112_1.jpg 主催者である連合の古賀伸明会長ら幹部役職員が、各界各層の来場者を会場入り口で一人ひとり出迎えた。会場は参加者がひしめくほどの盛況で、メインステージと反対側の会場後部に設けられた壇にはマスコミ各社のカメラの放列が敷かれた。ステージ周辺のテーブルには、毎年、来賓として招待されながらも出席を見送っていた経団連の榊原定征会長や日本銀行の黒田東彦総裁の姿があった。

 このほか、政治家では塩崎恭久厚労相、自民党の棚橋泰文幹事長代理、民主党の枝野幸男幹事長、維新の党の江田憲司代表、公明党の山口那津男代表、次世代の党の平沼赳夫党首、社民党の吉田忠智党首、新党改革の荒井広幸代表、新党大地の鈴木宗男代表といった、与野党を超えた各党要職が集結した。それぞれの立場、立ち位置を明確に持った面々。いずれも新春行事にふさわしい笑顔を見せつつも、「攻めの使用者側」と「正念場の労働組合」を象徴する“闘い前夜のエール交換”とも言える光景となった。

 また、政党だけで見た場合には、連合を支持母体とする民主はもちろんのこと、維新をはじめとする野党が昨年暮れの総選挙を終え、新たな年に他の野党とどのような連携・結集を模索するか。さらに、連合といかなる距離感を保ちたいのかも、今年の焦点となっている。その意味で、維新の江田代表の出席もマスコミの注目を集めた。

古賀会長の発言要旨 「次の時代に禍根を残さない運動を展開」

(連合の姿勢) 今年は、いわゆる「春闘」と呼ばれる方式が今のスタイルになって60年目を迎える。この間、労使はその局面局面でさまざまな課題を粘り強く、真摯(しんし)に交渉・協議して課題を解決し、社会の安定と発展に寄与してきた。今、大きな課題は、デフレ脱却と新たな経済の好循環だと思う。そのためには、月例賃金の安定的かつ継続的な引き上げが必要で、社会全体の底上げ、底支え、格差是正が不可欠となっている。

 2015春季生活闘争。私たち連合は非正規や中小企業で働く仲間を含め、賃上げ、時間短縮、政策制度要求の実現に向け全力を挙げて推進していく。政策制度面では、労働者保護ルールの改悪の動きが今年もさまざまな形で起こってくると思う。働く者の命と雇用を守り、次の時代に禍根を残さない運動を強力に展開していきたい。そして、連合は新しい年もさまざまな課題に果敢に挑戦していく。

(政治=政府・与党に対する要望) 日本は成熟化、超少子高齢・人口減少社会の進展、そして拡大する格差など大きな課題を抱えている。これらの課題解決には、一部の上位の層だけでなく、社会のすそ野に光を当てる政策こそ重要だ。そのリーダーシップは政治の役割も大きい。

 先の総選挙では投票率が歴史的に低かった。重く受け止める必要があるのではないか。今、政治に求められるのは、中国の故事にある「声無きに聴き、形無きに視(み)る」姿勢だと思う。政府・与党には声なき声を吸い上げる想像力。そして何事も一気呵成(かせい)に行うのではなく、丁寧な対話を求めたい。

(政治=野党、民主党に対する要望) 野党、とりわけ民主党に対しては、政策の選択肢をきちんと提示し、堂々たる議論で緊張感を持った政治を形成してほしい。そのことが、国民の信頼をひとつひとつ回復することにつながると思う。今月実施される代表選挙についても、ステップのひとつとしていくことが重要だ。

塩崎厚労相の発言要旨 「労使の意見を聞くことが大原則」

(政府・与党の姿勢) 生まれて初めて連合の会にやって来た。先ほど、総選挙の投票率が低かったという話があったが、今回の選挙は「未来への責任を各政党がどのように果たしていくか」ということが問われたと思う。自民党は、デフレ脱却と経済再生を最優先とし、それが社会保障制度の安定化や財政再建にも生活水準の向上にもつながることを(有権者に)問い掛けた。投票率が低かったというのであれば、今月末からの通常国会を通じて、ますます各党との間でいい議論をして、好循環をどのように実践に移していくのかに注力したい。

(厚生労働行政について) 長時間労働を排除しながら、労働生産性を上げていく問題について考えていく必要がある。一方で、雇用機会も同時に作っていかなくてはならない。厚生労働省としてこれまでにあまりなかった具体的な提案をして、挑戦していきたい。また、児童虐待や障害者施策など弱い立場の人たちに対応する政策も重要と考えている。

 いずれにしても、労働政策はここにおられる労使の意見をしっかりと聞いて進めていきたい。それが厚労省の大原則であることを、年頭に改めて再確認させていただく。

榊原会長の発言要旨 「相互信頼のもとに経済再生を」

(経団連の姿勢) 私も(塩崎厚労相と同じく)生まれて初めての参加で、経団連会長の出席も初めてでしょう。日本経済は安倍政権の一連の経済政策によって緩やかながら着実に回復しているが、一方で、個人消費は力強さを欠き、急激な円安による負の影響もみられる。経済界としては、事業収益を上げて、それを雇用の拡大と賃金の引き上げにつなげるよう最大限の努力をする。

(労使関係の要望)  そのためには、世界に誇れる良好な労使関係のもとに、労使が協力して課題に取り組んでいくことが不可欠だ。今後も、連合幹部のみなさんと懇談会などを通じて共通認識や相互理解に努め、今こそ相互信頼の中でともに手を携えて経済再生に取り組んでいきましょう。

枝野幹事長の発言要旨 「連合のみなさんの底力に感謝」

(支持母体の連合に対する民主党の姿勢) 長年にわたり連合のみなさんのご支援を得て選挙を戦ってきたが、先の総選挙はかつて経験のないほどに全力で応援いただいた。2010年の参院選以来、すっと後退を続けてきた党勢だが、徳俵がなければいよいよ土俵の外に押し出されるというような総選挙で、何とか徳俵に足をかけて踏みとどまらせていただいた。それは全国の連合のみなさんの底力だったと感謝している。

 踏みとどまっただけでは意味がない。古賀会長の言う「声なき声」をしっかりと政治に届ける役割を果たしたい。塩崎厚労相の前では言い難いが、労働法制の話もある。働く人、消費者、納税者、生活者の皆さんの政治に届き難い声を、私たち(民主党)が受け止めて伝えていく。

 

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